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【プラントエンジニアリング】御三家の日揮は1000万円超えで年収トップに

[2017.09.14]
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プラントエンジニアリング会社は、主に石油やガスなどのエネルギー、医薬、金属、化学製品を生産する設備の建設を手掛けています。巨大なプラントになると、その建設・稼働の成否が周辺地域やその国の経済発展に大きな影響を及ぼすこともある、重要な業種です。

日本では日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの3社がエンジニアリング御三家と称される大手専業会社です。
そんなプラント関連会社の年収はどのくらいなのでしょうか?

各社が公表している有価証券報告書のデータをもとに、日本の主要なプラント関連会社14社をピックアップし、平均年収のランキングを作成しました。

1位の日揮が唯一の1000万円超

まずは平均年収のランキングを見てみましょう。

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トップは御三家の1つである日揮です。平均年収は1000.7万円(平均年齢43.6歳)で唯一の1000万円越えとなりました。日揮は石油・ガス・資源開発、石油精製、LNGなどのエネルギー分野で業績を伸ばし、LNGプラントでは世界有数の実績を誇る会社です。
日揮はLNGではべクテル(米国)、KBR(米国)、千代田化工建設と並ぶ“4強”の1つ。受注に当たっては大型案件にこだわらず、採算性の高い案件を選択受注している点や地域分散を徹底するなどの事業戦略が功を奏し、年収の高さでトップとなりました。

2位に続いたのも日揮と同じく御三家の1つ、千代田化工建設で892.6万円(40.9歳)。3位は水処理に強みを発揮する栗田工業の885.5 万円(42.2 歳)となりました。

年収ランキングではトップ1、2を専業メーカーが占める形となりました。プラント関連会社全体のボリュームゾーンは700~800万円台となっています。

年収アップ率では総合重機に軍配

それでは各社の最新の年収と5年前との比較ではどのようになっているのでしょうか。年収ランキングでは専業会社が1位、2位を独占しましたが、年収アップ率で見ると重工メーカーに軍配が上がります。

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アップ率がもっとも高かったのは、三菱重工業の14.4%。日本最大の機械メーカーであり、その主力製品は交通、エネルギー、防衛・宇宙、ロケット、産業機械・設備など多岐にわたります。その中でもプラント事業は同社の売上高の約4割を占める主力産業の1つです。2016年度の営業利益は火力発電プラントなどの減少が影響して前年度より441億円減少しましたが、年収のアップ率ではトップとなりました。

アップ率2位は川崎重工業の12.0%です。川崎重工は2016年度、プラント事業においては減収となってしまいましたが、産業用ロボットなど精密機械、ガスタービンなどは増収。全体では前年度の収益を維持し、年収のアップ率は専業会社を抜いて2位となりました。

3位は栗田工業の7.8 %。栗田工業は水処理施設など水と環境に関わる技術を提供する会社で、水処理のリーディングカンパニーとして水と環境の問題に取り組んできました。栗田工業も2017年3月期の営業利益は減少し、対前期と比べてマイナス1.9%となりましたが、給与は5年前と比べて上昇しています。

一方でアップ率がもっとも低いマイナス7.1 %だったのは千代田化工建設。2016年度の営業利益は156億8000万円で、前連結会計年度比マイナス2.1%です。日揮と並ぶ御三家の1つで5年前は年収ランキングトップだった千代田化工ですが、原油やLNGの価格下落という環境に加え、2016年3月に出資した海洋資源開発会社の経営破たんなどが大きく影響し、2016年度は16年ぶりとなる赤字決算となりました。

フィールドの拡大、省エネ技術など期待感高まる

近年、プラントエンジニアリング会社では、海外における大規模なプラント新設がいずれ頭打ちになることを見越して、いかにエネルギー関連事業の依存率を減らすかが課題となっています。各社、医薬品や化学製品、金属製品、精密機械など多様な事業展開によってリスク分散を図っています。
プラント事業で減収となった企業が多い中、比較的高収入なイメージの強いプラント関連会社の年収がどのように変化していくのか、今後も注視が必要です。