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【総合重機メーカー・年収比較】 業界最大手が強し!平均年収・アップ率ともにトップ

[2018.01.26]
 

総合重機メーカーは、発電設備や航空機、建設・産業機械、プラントなど多くの事業を手がけており、重厚長大なものづくりを担っています。

メーカーによって得意とする分野はさまざまですが、平均年収はどうなっているのでしょうか。

最新の有価証券報告書をもとに、総合重機メーカー6社の平均年収を比べてみました。

業界最大手の三菱重工業がトップで840万円

まずは、平均年収のランキングをみていきましょう。

 
1位は業界最大手で火力発電を得意とする三菱重工業です。平均年収は842.9万円(平均年齢39.2歳)で唯一の800万円超えとなりました。

2位は油圧ショベルをはじめとした建設機械に強い住友重機械工業で、平均年収は782.3万円(43.0歳)。

3位は航空機と二輪車が主力の川崎重工業で739.8万円(38.1歳)でした。

最も平均年収が低かったのは海洋開発がメインの三井造船で、622.1万円(37.0歳)。トップの三菱重工業とは200万円以上の差があります。

業界1、2位は10%以上アップ ほかは軒並みダウン

続いて、5年間で平均年収がどれだけ変化したのかを見ていきます。

 

年収アップ率1位は総合重機メーカー6社の中で売上高トップの三菱重工業です。

平均年収は5年連続で増加しており、額にすると100万円以上増えました。事業規模が拡大し、売上高は5年前の約1.4倍に。
16年度は3兆9140億円で、売上高2位の川崎重工業(1兆5188億円)に大きく差をつけています。

三菱重工業は中期経営計画で17年度に5兆5000億円の売り上げを目指していましたが、売り上げの3割近くを稼いでいる火力発電の需要低迷や大型客船プロジェクトのコスト増加、航空機の開発難航などが響き、売上高は4兆500億円となる見通しです。

アップ率2位は川崎重工業です。

16年度の平均年収はわずかにダウンしましたが、5年間で約80万円増えました。主力の防衛用航空機や二輪車が好調で、売上高は5年前から16.5%増加しています。

売上高が3位以下の4社の平均年収は、5年前から軒並みダウンする結果となりました。

売上高が業界3位で航空エンジンを得意とするIHIの平均年収は3.5%ダウン

15年度はトルコの橋梁工事とインドネシアのボイラー工事の遅れで特別損失を計上したため、純利益が前年度比83%減の15億円と落ち込みました。
平均年収は15年度までは増加していましたが、16年度には30万円減少しています。

今後は注力事業が平均年収を左右する可能性も

総合重機メーカーは海外売上高比率が半分を超えるところも多く、業績が世界情勢に左右されることも少なくありません。将来を見据えた事業展開が求められており、各社期待できる事業への投資を進めています。

川崎重工業は16~18年度の中期経営計画で、16年度は売上高全体の2割ほど(3299億円)だった航空宇宙事業を、25年度には4割(1兆500億円程度)にまで拡大させることを目標に掲げています。

民間航空機の需要は今後20年で2倍になると予想されており、成長が期待できる市場。17年2月には最新の大型旅客機「ボーイング777X」の胴体を製造する新工場を設立しており、売り上げ貢献が見込まれています。

IHIは国内生産シェアの6~7割を担う航空エンジンに注力していく方針で、住友重機械工業は世界的に稼働台数が増加している産業用ロボットの減速機に投資を進めています。

一方、国産旅客機「MRJ」の開発が難航している三菱重工業は、事業再編で航空機事業の立て直しを急ぎながらも、かねてから強みがある火力発電事業を主力とする方針を変えません。
IoTやAIを活用したサービスの強化や、高効率のガスタービン開発などを進めることで、競争が激化している火力発電事業での勝ち残りを目指しています。

総合重機メーカーは発電設備や航空機、建設・産業機械、プラントなどさまざまな分野を手がけており、企業によって注力事業が違います。

今後は事業規模だけではなく「どの事業に注力しているか」が年収の明暗を分ける可能性もありそうです。