【建設機械メーカー・年収比較】トップは800万円超え 建機総合メーカーが苦戦
[2017.12.01]ショベルやクレーンなど、建設工事に使われる機械を製造する建設機械メーカー。業績が建設需要に先立って変動するため、景気の「先読み指標」とも言われていますが、平均年収はどうなっているのでしょうか。
各社が公表している最新の有価証券報告書のデータをもとに、日本の主要な建設機械メーカー12社の平均年収をランキングしました。
トップはクボタで唯一の800万円超え
2016年度の1位はクボタで、平均年収は812.8万円(平均年齢40.4歳)。農業機械で国内最大手のクボタですが、実はミニバックホー(ショベルがオペレータ向きに取り付けられているミニショベル)でも15年連続で販売台数世界一です。
2位は豊田自動織機で790.5万円(39.4歳)。自動車だけではなく産業車両も手がけており、フォークリフトでは世界シェアトップ。3位はトンネルのドリルマシンに強みがある古河機械金属(788.4万円、45.8歳)で、建設機械で国内最大手のコマツは5位(716.3万円、38.9歳)でした。
一方、最も年収が低かったのは世界で初めてミニショベルを開発した竹内製作所で、537.9万円(40.0歳)でした。
ショベル・クレーンは好調 建機総合は苦戦
つづいて、平均年収のアップ率をみていきます。下のグラフは、5年前の平均年収からのアップ率をグラフに表したものです。
過去5年で平均年収が最もアップしたのは竹内製作所。アップ率は28.8%で、額にすると100万円ほど増えました。欧米事業が好調で、この5年で売り上げは2倍以上になりました。
2位と3位はクレーンが主力の加藤製作所とタダノで、平均年収はそれぞれ20%以上アップ。震災復興やインフラ整備などによる需要の高まりを受け、国内の建設用クレーンの総出荷額は11~16年度の5年間で倍以上に増加。加藤製作所とタダノはこの波に乗って業績を伸ばしました。
一方で平均年収が下がったのは、日立建機と住友重機械工業。国内最大手のコマツもアップ率は1.3%と小幅にとどまっており、建機総合メーカー3社の年収の伸びは低調です。
各社が主力とする油圧ショベルの世界需要は、中国の景気悪化や資源価格の下落により、10年度をピークに縮小。15年度はピーク時に比べて4割減り、リーマンショック直後と同水準まで落ち込みました。コマツは売上高の8割、日立建機は7割、住友重機械工業も5割を海外で稼いでおり、世界需要の減少を受けて業績も伸び悩んでいます。
国内ではICT化推進 世界需要の回復は新興国がカギ
労働力不足の中でも効率的に建設工事を進めるため、政府はICT(情報通信技術)を建設現場に導入する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を推進しています。
最大手のコマツはこれにいち早く着手し、15年には「スマートコンストラクション」サービスを国内で始めました。ICT建機から共有される情報をもとに施行をマネジメントするクラウドサービスを施工業者に提供。13年にはレンタル、16年には販売を開始したICT建機は、これまで3800を超える現場に導入されました。
日立建機も、16年にICT建機のレンタルと販売を開始。17年にはスマートフォンやタブレットで施工状況を確認できるクラウドサービス「Solution Linkage Cloud」の提供も始めました。
建設機械の需要は、リーマンショック後に落ち込み、10~11年には一旦中国での需要増で回復したものの、その後は再び資源価格の下落などで縮小しました。16年は回復の兆しもみられており、今後は中国など新興国や資源国の動向がポイントとなってきます。