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【ソニーvsパナソニックvsシャープ】家電御三家の〈業績・従業員数・年収〉を徹底比較!

[2017.08.30]
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リーマンショックや円高、海外勢との競争で深い傷を負った日本の電機業界。全体としては一時の苦境を脱しつつある中、日立やソニーが業績回復に道筋をつける一方、シャープや東芝が経営危機に陥るなど、企業の間で明暗がくっきりと分かれています。
リーマンショック後の景気低迷で特に落ち込んだのが、ソニーとパナソニック、シャープの家電御三家。過去10年の業績、従業員数、年収で3社を比較してみました。

【復活のソニー】20年ぶり営業利益5000億円へ

まずは、ソニー、パナソニック、シャープの業績を10年前の2006年度からたどってみます。売上高営業利益
2008年のリーマンショック後、そろって経営不振に直面した家電3社。世界的な景気の低迷に円高の逆風が吹き、価格の安い海外勢との競争にさらされたテレビ・パソコン事業が足を引っ張りました。

シャープ 過去10年で5度の営業赤字
テレビ事業の不振が経営を直撃したのがシャープです。

一時は日本製の高品質をうたう「亀山モデル」の液晶テレビが一斉を風靡し、2007年度の売上高は3兆4000億円と過去最高に達しましたが、海外勢との競争に敗れ2008~2016年度の9年間で5度の営業赤字を計上。この9年間で計上した純損失の累計は1兆5504億円に及びました。

新たな液晶パネル工場を相次いで建設するなど、過剰な設備投資があだとなり、2015年度末には債務超過に転落。自力での経営再建を断念し、台湾の鴻海精密工業の傘下に入りました。

ソニー 不採算事業を分社化 画像センサーが回復牽引
シャープ同様、テレビ事業の低迷から業績不振に陥ったものの、回復傾向にあるのがソニーとパナソニックです。

ソニーは2017年度、20年ぶりに営業利益が5000億円に達する見通しです。リーマンショック直前の2007年には8兆9000億円あった売上高は、2011年に6兆5000億円まで縮小。2008年度には2000億円を超える営業赤字を出しましたが、その後は波はありながらも回復基調にあります。

牽引役は、スマートフォンなどに使われる画像センサーと4Kテレビ。金融事業も1兆円を超える規模に成長し、不採算のパソコン事業を分社化するなど構造改革も進みました。

パナソニックはBtoBにシフト
2011、2012年度と2年連続で7000億円を超える巨額の最終赤字を計上したパナソニックも、V字回復が鮮明です。

グラフでは売上高、営業利益とも2016年度は大きく減らしているように見えますが、これは会計基準を米国基準から国際会計基準に変更したため。2016年度の営業利益は実質20.2%増となっており、回復基調は続いています。車載機器などBtoBに軸足をシフトし、家電では4Kテレビなど高付加価値製品が好調です。

【V字回復のパナ】従業員13万人減、ソニー・シャープも3割減少

パナソニックのV字回復の裏には、断続的に行われた大規模なリストラがあります。
従業員
パナソニックの連結従業員数は、三洋電機を買収した2009年度に38万5000人まで膨れましたが、2016年度には25万8000人まで減少。この7年間で実に12万7000人減りました。2014年度以降の3年間は25万人台でほぼ横ばいとなっていますが、単純に平均すると2009年度以降は毎年1万8000人ずつ減ったことになります。この間、プラズマテレビや国内向けスマートフォン、液晶パネルなどから相次いで撤退しました。

ソニーも直近10年間でピークだった2007年度の18万1000人から5万3000人、シャープも2011年度の5万7000から1万5000人、それぞれ減少しました。人数にするとパナソニックほどのインパクトはありませんが、率にすると3社とも3割程度従業員が減りました

ソニーは2011年度に4500億円を超える最終赤字を計上し、翌2012年度に1万人規模のリストラを実行。2013年度には不振のパソコン事業を売却し、テレビ事業を分社化しました。

【凋落のシャープ】年収は10年で115万円減 ソニーは900万円台回復

この間、3社の平均年収はどうのような推移をたどってきたのでしょうか。
年収
3社とも10年前と比べて年収は減っているものの、最も減少幅が大きかったのはシャープ。2006年度の761.2万円(平均年齢41.1歳)から2016年度には646.1万円(43.8歳)と、115.1万円減少。最も低かった年では600.7万円(2013年度)まで落ち込みました。

この3社の中では最も年収の高いソニーも933.0万円(39.6歳)から910.7万円(43.1歳)と22.3万円減少。2011年度に4500億円規模の最終赤字を計上したあと、2012~2014年は900万円を下回っていましたが、2015年度には再び900万円台を回復しました。

パナソニックも838.1万円(43.1歳)から781.5万円(45.3歳)と56.6万円減りました。2年連続で7000億円の最終赤字を出した翌年の2013年度には700万円を切る水準まで落ち込みましたが、その後は経営不振に陥る前の水準に戻っています。

2006年度には171.8万円だったソニーとシャープの差は、2016年度には264.6万円まで拡大。ソニーとパナソニック、パナソニックとシャープの差もこの10年間でそれぞれ開きました。業績だけでなく、年収の動向でも明暗がくっきりと分かれています。