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10年で伸びた? 沈んだ? 就職人気企業の成長率ランキング

[2017.04.26]
サイコロ

これから就職・転職先を決める人の中には、安定した会社に長く勤めたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで、安定性を見極めるひとつの指標として、技術職志望の学生に人気の企業20社をピックアップし、過去10年間で業績がどのように変化したのか、売上高と営業利益の増減をランキング形式でまとめました。

【売上高成長率】1位は高年収で有名なキーエンス

まずは売上高がどれくらい成長しているのか、ランキングで見てみましょう。2015年度の売上高は、10年前の2005年度と比較してどれだけ増減しているのでしょうか。

就職人気企業 売上高成長率ランキング_170419

売上高の成長率1位はキーエンスで、成長率は139.6%(2210億円増)、2015年度の売上高は3793億円です。
続く2位は自動車メーカーのスバル(2017年4月に富士重工業から社名変更)で118.9%(1兆7558億円増)、3位はトランスミッションやブレーキに強みを持つトヨタ系部品メーカーのアイシン精機で成長率は52.9%(1兆1226億円増)となっていました。

売上高の成長率ワースト1位は精密機器のオリンパスで、10年前と比べてマイナス17.7%、金額で言えば1735億円も売上を落としています。
続くワースト2位のパナソニックは、割合で見るとマイナス15.1%ですが、金額では1兆3406億円と大きく下落。他に売上を落としているのは富士通で、下位には大手電機メーカーが並んでいます。

【営業利益成長率】北米で絶好調のスバルが1位、ホンダは-42.1%

次に、営業利益の成長率を見てみましょう。営業利益は「本業で稼いだ利益」を示しており、売上高から人件費や材料費などのコストを引いた金額です。

就職人気企業 営業利益成長率ランキング_170419

営業利益の成長率で1位となったのはスバルで、869.5%(5073億円増)と驚異の成長を遂げています。2015年度の営業利益は5656億円です。
続く2位は船舶や産業用機械の三菱重工で、成長率は336.5%(2386億円増)、営業利益は3095億円。3位には電機メーカーの日立製作所が、成長率148.0%(3789億円増)、営業利益6349億円でランクインしています。

一方、最下位はホンダで、10年前と比べて営業利益が42.1%(3655億円)も減っています。ワースト2位のキヤノンは39.1%(2278億円減)、3位は富士通の33.5%(608億円減)となっています。

二極化する電機業界、堅調な自動車業界

これらのデータから業界別におおまかな傾向を見てみると、電機業界は一時のもっとも厳しい状況を脱し、経営の健全化を図りつつあると言えます。
独自路線で高い収益を上げているキーエンスを除けば、各社とも売上高の成長率ではトップ10に入れずにいる一方、営業利益の成長率では上位の日立や三菱電機、下位のキヤノン、富士通、パナソニックと二極化が進んでいます。
とくにキヤノンは、10年前と比べデジタルカメラ市場やOA機器市場が停滞・縮小傾向にあることから、営業利益を大きく落としています。
電機メーカーは生き残りをかけて不採算部門を切り離し、経営の合理化を図る傾向にあります。

自動車業界は底堅いものの、直近では明暗が分かれる結果になっています。
営業利益の成長率1位のスバルは、アメリカでの新車販売台数が9年連続で前の年を上回るなど、右肩上がりに伸びて絶好調です。
一方、営業利益の成長率で最下位のホンダは2015年11月に発生したタカタ製エアバッグのリコールなどで費用がかさみ、赤字こそ出していないものの大きく営業利益を落としています。

また、精密機器では、売上高成長率ではワースト1位のオリンパスが、営業利益率の成長ランキングで10位とまずまずの結果に。
消化器内視鏡で世界の70%のシェアを握るオリンパスは、2004年に分社化したオリンパスイメージング(映像事業)、オリンパスメディカルシステムズ(医療事業)を、2015年に吸収合併していることから、高収益分野に注力する戦略が実を結んでいるのだと考えられます。

このように売上高や営業利益、営業利益率の推移を見てみると、企業の成長や縮小の傾向がわかります。さらに最近のニュースなども合わせてチェックすることで、外的要因によって業績がアップダウンしやすいのかまで理解できます。
就職先や転職先の会社を選ぶ際には、給料や働き方と合わせて、企業の「稼ぐ力」にも注目してみてはいかがでしょうか

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