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【電機大手・年収比較】1位はソニー 5年前との比較ではNECが伸び率トップ

[2017.01.19]
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かつては日本のお家芸でありながら、海外勢との競争激化やリーマンショック、円高などで落ち込んだ電機業界。重電系を中心に業績は回復しつつあると言われますが、年収の方はどうでしょうか?日本の電機大手8社の直近の平均年収を、5年前と比較してみました。

平均年収トップのソニーは唯一の900万円超え

各社の有価証券報告書に記載されているデータをもとに、2015年度の電機大手8社の平均年収をランキングしたところ、トップとなったのは935.5万円(平均年齢43.4歳)のソニー。業界最大手の日立製作所が868.6万円(41.2歳)で続き、3位は833.7万円(42.9歳)の日本電気(NEC)でした。
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ソニーの平均年収は、2位の日立を67万円、3位のNECを102万円上回りました
。電気業界屈指の高給として知られるだけに、大手の中でも群を抜いています。

液晶パネルの不振で経営難に陥ったシャープは、633.7万円(43.4歳)で8位。トップのソニーとは302万円の開きがあり、7位のパナソニックにも155万円の差をつけられました。

年収アップ率ではNECが首位

5年前の2010年度と比べると、各社の年収はどれくらい増減したのでしょうか。

電機大手・年収比較_図

上のグラフは、横軸を10~15年度の5年間の平均年収のアップ率、縦軸を15年度の平均年齢とし、円の大きさで15年度の各社の平均年収を表したものです。

この5年間での平均年収の伸び率が最も大きかったのは、19.4%増となったNEC。この間、平均年齢は2.2歳上昇しました。

NECが10~15年度の5年間で増収となったのは12年度のみで、10年度と11年度は最終赤字を計上。その後は黒字基調が続いていますが、売上高の減少傾向にはなかなか歯止めがかかっていません。NECの連結従業員数はこの5年間で1万7000人余り(約15%)減少しました。経営のスリム化が年収の伸びを支えたと言えるかもしれません。

NECに次いで平均年収の伸びが大きかったのが、パソコンやテレビから撤退し、交通やエネルギーといったインフラ事業に注力する日立(14.7%増)。続く三菱電機(6.5%増)は大手8社で唯一、平均年齢が下がる中での年収アップとなりました。

東芝は5年間で見ると6.3%伸びましたが、不正会計が問題となった15年度は前年度から17万円余りダウンしました。

家電系は年収アップ率が低い傾向

業績が回復しつつあると言われる重電系メーカーに比べると、家電系の年収の伸びは小さくなっています。15年度の平均年収が最も高かったソニーは、10~15年度の間に4度の最終赤字。伸び率は1.3%にとどまりました。

11、12年度と2年連続で7000億円を超える巨額の最終赤字となったパナソニックも1.4%と伸び率は小幅。ソニー同様、10~15年度の間に4度の最終赤字を計上し、経営危機に陥ったシャープは11.1%減と大手8社で唯一、平均年収を減らしました。

家電系メーカーでは、ソニーがパソコン事業から撤退し、テレビ事業を分社化。パナソニックもプラズマテレビから撤退し、BtoB(法人向け)にシフトするなど、業績回復に向けた事業構造の改革が進んでいます。

一方、シャープは2016年に台湾・鴻海精密工業の傘下入りし、経営再建の真っただ中。不正会計問題に揺れた東芝も、米国での原発事業をめぐって数千億円規模の巨額の損失を今年度決算に計上する可能性があると発表し、リストラの加速は不可避との見方も出ています。

全体として見れば一時の苦境は脱しつつあるとはいえ、依然として不透明感が漂う電機業界。15年度までの5年間で見れば、大手8社のうち7社で年収アップとなりましたが、今後、企業の間で明暗がくっきりと分かれてくることも予想され、年収についても予断を許さない状況は続きそうです。