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リストラにあった時、どうする?

 

近年、競争に敗れ、業績不振になる企業が増えています。さらに、優良に見える会社が不祥事などで突然苦境に陥るケースもあります。こんな状況では、どんな優良企業に勤めるエンジニアであっても、リストラとは無縁とは言い切れないでしょう。

このような世の中では、今リストラを宣言されたらどうするか、常に考えておく必要があります。

今回は私自身がリストラを宣言された経験から(結果は会社に残りました)、リストラ宣言を受けるとはどういうことか、そのような時にどのように行動すればいいのか、自分の体験を交えながら考えてみます。

まずショックから立ち直ることが最優先

私の場合は、まず自社の業績が悪くなり、リストラが繰り返されました。最初は主に40~50代の社員から始まり、徐々に対象年齢が引き下げられ、最後のリストラで初めて私も早期退職制度の対象になりました。対象者全員に面談が行われるため、私も上司による面談を受けることになります。

でも、私は相対的に若く、業務が特殊で代わりもいないため、本当にリストラ宣言を受けるとは思ってもいませんでした。それでもリストラを言い渡されてしまったのです。

日常風景のはずのリストラですが、自分が受けるということは全く別でした。いつも見てきたはずなのに、本当にショックでした。そして上司に食ってかかりました。

リストラ宣言を受けたとき、「自分は正常な状態ではない」と認識しましょう。勢いに任せて「じゃあ、辞めてやる」というのは最悪です。また、「なぜ、自分が」とは考えないことです。

実際のところ、リストラ対象者は仕事の実力というよりも、出身会社や担当業務などで、多くが決まっていました。むしろ、自然災害的なものと考えた方が、精神上よいのかもしれません。

そして、まずはショックから立ち直るための時間稼ぎをしましょう。大きなショックを受けた状態での対応は、不利な状況を生むだけです。まずは自分を取り戻すことが最優先です。

一人で考えない

talk_colleague厳しい選択をしてしまった人の多くは他人に相談できない人でした。

リストラ面談の中で、希望退職に同意しないのであれば、厳しい労働条件変更(等級ダウン、転勤、深夜勤務有)を受け入れろと言われた人もいました。

結果的には、どちらも避けることができたのですが、一人で抱え込み、それを知らないまま厳しい条件をのんだ人もいます。

非常に厳しいリストラではありましたが、周りと情報共有していた人は、退職して再就職するにしても比較的良い結果となっていました。特に、女性にそのタイプが多かったように思います。情報を得ることはもちろん、自分の状況を人に話すだけで気持ちが落ち着く効果もあります。

私は組合にも相談をしました。周りの状況を知ることで心が落ち着き、冷静にその後の判断ができるようになりました。特に組合があるならば必ず相談するべきです。会社に組合が無くとも、労働者団体など相談先はあります。

リストラを迫る上司は、相手を孤立させて不安をあおろうとします。プライドもあるでしょうが「恥ずかしい」は捨てましょう。この状況でのプライドは最悪の結果を招きます。

「沈黙」は武器である

 私がリストラ面談を受けた時、面談相手の部長がノートに目を落としながらしゃべっているのが印象的でした。というのも、「何を言ってはいけない」とか、「こんな風に言ってきたらこう言い返す」というマニュアルが存在していて、それを確認しているようでした。

リストラ面談用の研修もあるようで、相手は準備万端な上、多数のリストラ面談をこなしています。多数の経験を持つ相手に対し、面談の場では自分一人なので、圧倒的な戦力差があると認識しなくてはいけません。

特に、感情に任せて話してしまうと、相手の思うツボです。頭に血が上った人間の行動パターンなど多くはありません。有効な手段は黙ることです。

理由の一つは冷静になれること。二つ目は、時間を稼げることです。リストラを受けると、精神状態が正常でなくなりますし、時間の経過とともに周囲の状況も変わります。好条件で転職できるならともかく、そうでなければ判断までに少しでも時間をかけたほうが良いです。

リストラ宣言を受けることは大きな衝撃ですが、それから短時間で人生における大きな選択をしなくてはいけません。まずは落ち着いて考えることです。

私がこの時に退職しなかった一番の理由は、社員が減っていたので仕事の裁量が大きくなり、仕事にやりがいを感じていたからでした。現在も仕事には満足しているので、この時に冷静に状況を判断し、会社に残ったのは正しかったと思っています。

安全な会社などありません。普段から、いま会社をやめざるを得ないならどうするか、頭の片隅で考えておくことは最低限の備えだと思います。リストラでなくても、家庭の事情などの理由で会社を辞めざるを得なくなることもありますから。

人の職業人生より会社の寿命の方が短いとも言われる世の中です。日頃から業界の動向や自社状況について情報収集したり、社外とのネットワークを築いたりしておきましょう。

(エンジニアライター 蔵本貴文)