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【ロボット・年収比較】1位のファナックは年収1571万円

[2017.06.26]
robotic arms in a car plant

工場の自動化が進み、成長産業として注目を集めているロボット。工場などで使われる産業用ロボットと、人に代わってコミュニケーションを行う人型ロボットや医療・介護現場での身体補助のために身に着けるロボットスーツなどのサービスロボットに大別され、とくに産業用ロボットは大きく成長してきました。
そんなロボット関連企業の年収はどのくらいなのでしょうか? 最新の有価証券報告書のデータから調査してみました。

1位ファナックは1571万円!下位との差が1000万円以上

各社が公表している有価証券報告書のデータをもとに、日本の主要なロボットメーカーや関連企業26社をピックアップし、平均年収のランキングを作成しました。

EMJOBS-203|表_[PC]ロボット関連企業年収ランキング

堂々の1位は自動車向け多関節ロボットを主力とするファナックで、平均年収は1571.1万円(平均年齢42.9歳)です。
2位は「Pepper」事業で知られるソフトバンクの親会社で純粋持株会社のソフトバンクグループ。平均年収は1164.3万円(40.2歳)です。3位はロボットスーツや介護関連ロボットを開発・販売を行っている大和ハウス工業の863.0万円(38.5歳)となっています。

上位に並んでいるのはファナックを除き、ソフトバンク、大和ハウス、トヨタなど、本業が別にありながらロボットの研究・開発を行っている企業が並んでいます。逆に産業用ロボットの製造を主軸に置いている企業は、年収600~700万円台の企業が多いという結果となっています。

一方、ランキング下位の菊池製作所やCYBERDYNEはいずれも大学や国と連携してロボットの開発を進めている企業で、将来に期待されています。
菊池製作所は本業の金型製造や試作の傍ら、「ものづくりメカトロ研究所」と題してマッスルスーツや医療・介護ロボットの研究・開発を行っています。また、CYBERDYNEは筑波大学から生まれたベンチャー企業で、大和ハウスやオムロンからの出資を受けてロボットスール「HAL」の開発を行っています。

【産業用ロボット】5年前と比較した伸び率でもファナックがトップ

今度は各社の最新の年収が5年前と比較してどのくらい伸びているのか、産業用ロボットとサービスロボットに分けて見ていきましょう。

EMJOBS-203|バブルチャート_【産業用ロボット】5年前と比較した伸び率でもファナックがトップ

産業用ロボットのメーカーで年収のアップ率がもっとも高かったのは、年収でも1位のファナックです。5年間で60.2%、金額にすると590万円もアップしています。
ファナックは安川電気、ABBグループ(スイス)、クーカ(ドイツ)と並んで産業用ロボット4強と言われるメーカーで、とくにゼネラル・モーターズやフォードなどアメリカの自動車メーカーと関係が深い企業です。40%を超える売上高利益率を出していることでも知られており、年収そのものも高くなっています。

アップ率2位はSMCで、21.9%。SMCは工場の自動化(FA/ファクトリー・オートメーション)に欠かせない空気圧制御機器の分野において国内で6割、世界では3割を超えるシェアを握っており、今後も成長が期待されています。

3位はセイコーエプソンの20.8%。セイコーエプソンはOA機器の市場飽和で伸び悩む一方、自社の腕時計組製造で培った技術から精度が高くコンパクトな多関節ロボットを開発しています。2016年には、10年以内にロボット事業の売上高を1000億円まで成長させる旨を発表するなど、これからさらに注力事業として展開されていくようです。

一方、年収アップ率で最下位となったのは制御機器製造のIDECの1.1%。IDECの年収はここ数年620~630万円程度で堅調に推移しており、大きく上がりも下がりもしていません。

【サービスロボット】年収アップ率1位は大和ハウス工業

今度はサービスロボットを作っているメーカーで、5年前と比較した年収アップ率を見てみましょう。CYBERDYNEと菊池製作所については、5年前にはまだ上場していなかったため、アップ率は0としています。

EMJOBS-203|バブルチャート_【サービスロボット】5年前と比較した年収アップ率と平均年収

サービスロボットの分野で年収アップ率の上位は、1位が住宅総合メーカーの大和ハウス工業(20.7%)、2位が自動車メーカーのトヨタ(17.2%)、3位が制御機器や医療機器のオムロン(16.4%)と、一見ロボットとは縁のなさそうな企業が並んでいます。
各企業が行っているサービスロボット関連事業は以下の通り。

企業名 主なロボット業
大和ハウス工業 CYBERDYNEの「HAL」をはじめ、介護関連ロボットなどの販売代理事業などを展開
トヨタ自動車 医療・介護、生活支援などのパートナーロボットを開発。2017年4月、半身麻痺のリハビリ支援ロボットのレンタル開始を発表
オムロン 生産現場での搬送業務をアシストするモバイルロボットの開発・販売。CYBERDYNEとHALを共同開発
ソフトバンクグループ 感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」を開発、販売
東芝 リアルな人型コミュニケーション用ロボットを開発
CYBERDYNE 自立支援・介護支援用ロボットスーツ「HAL」を開発
菊池製作所 介護・物流現場での動作時に筋力のサポートを行うマッスルスーツやレスキューロボットを開発

サービスロボットの分野はまだまだ発展途上ですが、人体の動きをサポートする着用型ロボットや、コミュニケーションロボットなど、多岐にわたる分野で開発が進んでいます。伸びしろのある分野として期待されているロボット産業ですが、産業用ロボットについてはここ数年はスマホ需要がひと段落した影響で低迷し始めている企業もあります。とはいえ、海外の人件費の上昇や国内の働き手不足など、工場の自動化によってロボットの導入は増加中

個性あふれる企業が並んでいるロボット業界は、年収という観点だけでなく、仕事のやりがいや面白みという点で今後もさらに注目度が増していきそうです。