「 高調波 」

　近年、パワーエレクトロニクス技術の急激
な発展は目覚ましく、産業機器はもちろん、
家電、OA機器に至るまで広く半導体応用機
器が普及している。これらの機器の多くは電
力系統から供給される正弦波電圧の一部を利
用したり、正弦波を矩形波に変えて利用する
ため、50/60$$〔\mathrm{Hz}〕$$の商用周波数の整数倍の周
波数成分である高調波電流を発生し、これが
電力系統に流出することになる。系統に流出
した高調波電流は、配電線路や変圧器などの
系統各部のインピーダンスによって高調波電
圧を生じ、ほかの機器にひずんだ電圧を供給
することになり、次のような高調波障害を引
き起こすことがある。

(1)　通信線への誘導障害

(2)　電力用コンデンサの過負荷

(3)　回転機、変圧器の騒音、振動、過熱

(4)　地中送電線の送電容量の低下

(5)　蛍光灯の雑音防止用コンデンサあるいは安定器の過熱、焼損

(6)　保護継電器の誤動作、および計器類の誤差増大

　電力系統に接続されたさまざまな機器が相互に影響を及ぼすことなく機能するためには、以下のような調和のとれた適切な高調波対策を図ることが必要である。

(a)　高調波発生機器に対しては発生量を抑制して、電力系統の高調波電圧を適切なレベル以下に維持する。

(b)　高調波電圧に弱い機器に対しては、高調波耐量を強くする。