「 原子力発電所の安全 」

　原子力発電所の安全上最も重要なことは、原子炉の運転に伴い多量の放射能を有する核分裂生成物が蓄積するため、何らかの事故時に発電所外に放散され、一般公衆や発電所従業員に放射能災害が及ぶことを防止することである。このための施設として、(a)事故の発生を予防し、事故の拡大を防止する施設―異常を検出して警報を発するとともに原子炉を自動停止する設備など―、(b)放射性物質放散による災害を制御、防止する施設―炉心溶融防止装置、格納施設（放射能の隔離）、格納施設スプレイ（格納施設を冷却して健全性維持）、換気系フィルタ（放出気体中の放射能を除去）など―の二つに大別できる。

　これらは、多重防護の考えの下に設計され、材料選定、製造、据付け、試験検査および営業運転開始後の定期検査の各段階で慎重な配慮がはらわれている。