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浸炭焼入れ

よみ
しんたんやきいれ
英語
carburizing

 浸炭剤中で鋼を加熱して表面層に炭素を浸透させ、それを焼入れ、焼戻しなどの熱処理をするもので、形状の複雑な歯車などの低炭素鋼(0.1~0.2$$\mathrm{\%C}$$)や低合金鋼に使用される。その結果として表面の炭素量約0.8$$\mathrm{\%C}$$、硬化層深さ0.2~1.2$$\mathrm{mm}$$ が一般的である。浸炭剤によって、固形浸炭[硬質木炭粒+20$$\mathrm{\%}$$の$$\mathrm{BaCO_3}$$+10$$\mathrm{\%}$$の$$\mathrm{Na_2CO_3}$$ ]とガス浸炭[メタン、エタン、プロパン等]にならびに液体浸炭[$$\mathrm{NaCN}$$、$$\mathrm{KCN}$$]に区分されている。

 浸炭処理は加工性の良い低炭素鋼または低炭素合金鋼を機械加工した後、その表面層の炭素量を増加させ、表面層のみを焼入硬化する処理法である。その内部は硬化不能で柔軟な組織のままであるため、処理品は靱性が高く、表面層は耐摩耗性を維持できる。自動車部品・船舶部品等をはじめ、各種の機械部品に幅広く応用され、最も普及している表面熱処理である。

 古くから行われていた固体浸炭を始め、昭和30年代初期に我が国に導入実用化された液体浸炭、続いてガス浸炭、最近では真空イオン浸炭と種類は多い。下表は主な4種類の浸炭法について、ごく一般的な特徴を示したもので、実際には処理品の形状・処理量・処理費・処理後の寸法精度などあらゆる面からの検討が必要であろう。最近ではガス浸炭がいくつかの雰囲気を用いて、利用が大幅に増加している。

 

71

全硬化層深さ

$$〔\mathrm{mm}〕$$

長 所 短 所
固体浸炭 0.25~3.0

大物部品の処理が可能

少量生産向き

設備費が安い

硬化層のばらつきが大

過剰浸炭がしやすい

作業環境がやや悪い

液体浸炭 0.05~1.0

小物部品の処理に有利

薄い硬化層が可能

設備費が安い

廃水処理設備が必要

浸炭防止が困難

ガス浸炭 0.25~3.0

炭素濃度の調節が可能

自動化が容易

多量生産向き

設備費が高い

量産でなければ処理費がやや割高

真空浸炭 0.5~3.0

作業環境が良好

処理品の光輝性が良好

粒界酸化の面で有利

設備費が高価

薄い硬化層がやや困難

処理費が割高になりやすい

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