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Interview デロイトトーマツ デロイト トーマツ サイバー合同会社 「エンジニア経験を武器にコンサルタントとして生きる」という選択肢

半導体メーカーのエンジニアから、その経験を活かしてグローバルコンサルティングファームのセキュリティ・コンサルタントに転職した竹ノ内氏。10数年間経験を積み上げてきたエンジニアではなく、なぜコンサルタントという道を選んだのか…その理由に迫ります。

PROFILE
デロイト トーマツ サイバー合同会社
シニアコンサルタント
竹ノ内 厚治

大学院修了後、国内大手電器メーカーの半導体部門に就職。13年間にわたり、民生用および車載用の半導体設計に携わり、自動車機能安全の規格対応やチーム立ち上げ等も経験した後、2017年に中途入社。自動車業界のセキュリティ分野のコンサルティングに従事している。

聞き手:長嶋 一樹(製造業専任コンサルタント)

自動車業界を中心とした製造業専任のコンサルタント。
日系完成車メーカーや大手自動車部品メーカーなど…採用支援した企業数は600社以上におよぶ。
業界・職種をまたいだ転職の支援経験も多数。

現在のお仕事について教えて下さい。

セキュリティ・コンサルタントとして、自動車メーカーのセキュリティ分野を担当しています。現在、日本の基幹産業である自動車業界では、クルマがインターネットに接続する『コネクテッド・カー』と『自動運転』という2つのテクノロジーが盛り上がりを見せています。これらの技術は、私たちの生活をより便利で安全なものに変える社会的貢献度の高さを持つ一方、交通社会に新たなリスクをもたらします。

それは、自動走行が可能なクルマがハッキングされるかもしれない、ということ。窃盗や不法侵入はもとより、命に関わる重大事故や、場合によってはテロ等にも悪用されるかもしれません。

私は、日本の完成車メーカーや自動車業界団体に対し、今後国産メーカーが開発するクルマのセキュリティ要件の整理や、それを実現するための技術や組織といったメーカー側の体制づくりについて、提言や支援を行っています。いわば、自動車業界が描くべき次世代の自動車セキュリティのスタンダードを作り、そこに向かって企業がどう進んでいくべきか、上流工程のさらに先に立って道筋をつける業務、といったところでしょうか。

日本の基幹産業の中でも特に重要な領域に、部分的ではなく包括的に関わりながら、業界全体の流れを作っていくこの仕事。自分の今後のキャリアを考える上でも、非常に面白さを感じています。

コンサルタントの仕事をする、やりがいは?

日本のモノづくりに対して、1エンジニアという立場では叶わなかった、大きな影響力を発揮できることですね。

今でこそ日本の自動車メーカーは世界の自動車産業に対して大きな影響力を持ちますが、5年後・10年後はどうでしょうか? 例えば、現在の自動車では、温室効果ガスである二酸化炭素を排出しない電気自動車等の電動化が進んできています。 そのような中、今後、電気自動車が主流になり、多くの自動車でガソリンエンジンがモーターに置き換わったら…? ガソリンエンジン車に比べて構造が単純になることで、電気自動車への参入障壁が低くなり、その結果振興メーカーが続々現れ、長年続いてきたガソリンエンジンを基本とした自動車業界の構造が大きく塗り替えられるともわかりません。

私がかつて在籍した日本の電機業界は、グローバル競争の中でかつての輝きを失いかけています。これは必ずしも現場の技術力が劣っているという訳ではなく、戦略の面で負けてしまった部分もあると思います。日本の基幹産業たる自動車業界に、同じ運命をたどらせないために…。私は1エンジニアの立場ではどうしてもできない、技術者と彼らの持つ技術力が正しく活きる流れやしくみを作るということを、このコンサルタントという立場で実現したいと考えています。

コンサルティングの仕事のことは、元から知っていたのですか?

はい。まずコンサルティングという仕事を知ったのは、前職で、実際にコンサルタントと一緒に仕事をする機会があったからです。車載用半導体の開発を担当した際に、自動車業界でも対応が求められるようになった機能安全規格ISO26262に準拠すべく、社内に機能安全対応を行うチームを立ち上げることになりました。とはいえ、規格書には具体的な対応策の記載はなく、何からどう手を付けていけばいいのかわからなかったので、コンサルタントの支援を仰ぐことになりました。コンサルタントから規格書にある要件の背景や、その解釈を教えてもらい、時には具体的な例示を示してもらいながら、自社の組織体制を考慮した対応方法を決めていきました。
このように、専門的な知見を提供すること、およびそれをベースに提言をすることが大きな価値を生むということを目の当りにし、俄然コンサルティングの業務に興味が沸きました。

エンジニアからコンサルティングファームへ転職しようと思ったキッカケは?

新卒で電機メーカーの半導体部門に入社して以来、私は民生用および車載用半導体の設計に携わってきました。キャリアとしてはいろいろな経験をさせていただき、それなりに満足もしていました。しかし、プロジェクトにもよりますが、30代も後半になれば、エンジニアとして自分で手を動かす設計業務より、プロジェクトの進捗管理や関係部署の調整等の業務が増えていきます。テクノロジーの変化が速く、また業界再編も行われる中で、これまで通りの延長線上でキャリアを積むことに対しての危機感は常に頭の中にありました。

そこで、エンジニアとしての経験を活かしながらも何か新たなことにチャレンジすることで、自分自身の価値を非連続的に向上させることができるのではと考え、これまでの環境から外に出てみようと思ったことが転職のキッカケでした。その上で、自分の知識を活かし、複数の企業や業界に対

してより影響を与えられるコンサルティングの仕事に魅力を感じていましたので、コンサルティングファームへの転職を決めました。

現在の業務にエンジニア時代の経験・知識はどのように活かされているのでしょうか?

基本的に現在のコンサルタントの仕事は、元エンジニアだからこそできるものだと思っています。実際に製品を作るわけではありませんが、要件を取りまとめるのは、やはりエンジニアとしての経験・知識を積んだものだからこそできるもの。

いくら知識で武装しても、現場感覚がわからないとすべて絵空事になってしまいます。自分がクライアントと同じメーカーという立場で働いていた経験は、最大の武器となります。仕様通りに作ることが求められるエンジニアリングと違って、どんなプロセスを経て、どんなアウトプットを行うか…クライアントとの関係の中で臨機応変に決めていくことがコンサルタントの仕事の醍醐味です。

最後に、エンジニアの方にメッセージをお願いします

私の場合、転職を検討しているとき、たまたまコンサルタントの仕事を知る機会があったのは、とても幸運だったと思っています。

エンジニアのキャリアの選択肢は、必ずしもエンジニアだけとは限りません。「エンジニアリングとは少し違ったアプローチでモノづくりに関わりたい」「もっと広い視点で仕事をしたい」、「業界の流れを作りたい」「自分の持っている知識と技術で未来を描きたい」…といった想いの受け皿となるのは、エンジニアではなく、コンサルタントという職種になると思います。

もちろん様々な制約のある中で仕様を考え抜き、更にその仕様通りに設計するということも魅力のある仕事です。その一方で、クライアントと一緒にまだ誰も描けていないようなものを描いていく役割によりやりがいを感じられるなら、この仕事はきっと面白いと思います。ぜひ、エンジニアとして積み上げてきた経験・知識を活かし、一緒に自動車業界の未来を描きませんか?

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