降伏条件
- よみ
- こうふくじょうけん
- 英語
- yield criterion
塑性変形するときは金属材料が単軸応力状態で変形することはなく、2軸または3軸の応力を受けている。このような組合せ応力のもとにおいて金属材料が弾性限度に達し、塑性変形を開始するときの条件を降伏条件という。
この降伏条件として次の二つの説が知られている。
(1) トレスカ[Tresca]の降伏条件
最大せん断応力説とも呼ばれ、最大主応力は微小正方形の応力分布を考える際に、任意の断面の垂直応力の最大値と最小値をそれぞれ$$σ_{max},$$$$σ_{min}$$とすれば、この条件式は次式で表される。
$$σ_e = σ_{min} - σ_{max} = 2k$$ ∴ $$k = σ_e / 2 = 0.5σ_e$$ (1)
ここで、$$k$$:せん断降伏応力、$$σ_e$$:引張降伏応力
(2) ミーゼス[von Mises]の降伏条件
せん断ひずみエネルギー説とも呼ばれ、次の式で表される。
$$σ_{eq}=\frac{1}{\sqrt{2}}\sqrt{(σ_1-σ_2)^{2}+(σ_2-σ_3)^{2}+(σ_3-σ_1)^{2}}=
σ_e$$
ここで、$$σ_{eq}$$は相当応力[equivalent stress]と呼ばれ、この式は材料内部での相当応力がある材料定数の値に達したときに降伏することを表している。
この式に、トレスカの降伏条件と同様にせん断降伏応力、引張降伏応力を上式に代入すると、次式が導かれる。
$$k = σ_e / \sqrt{3} = 0.577σ_e $$ (2)
したがって、(1)式と(2)式を比較すると、両者の差は1.155のわずかな差である。
両者の降伏条件のうち、ミーゼスの降伏条件に近い材料の方が多いが、トレスカの降伏条件の方が計算が簡単である便利さから使用されることが多い。
カテゴリ |
---|