せん断ひずみエネルギー説
- よみ
- せんだんひずみえねるぎーせつ
- 英語
- shearing strain energy theory
弾性体内に貯えられるせん断ひずみエネルギーが、ある一定値に達すると破損が起こるというもので、ミーゼス・ヘンキー[Mises-Hencky]の説またはミーゼスの降伏条件とも呼ばれている。単純引張降伏応力を$$\sigma_S$$とすると、$$\sigma_1 =\sigma_S \ ,\ \sigma_2 =\sigma_3 = 0$$
であるから、
$$U – U_v = \frac{m+1}{3mE} \sigma_S$$
したがって、破損の条件は、
$$(\sigma_1 – \sigma_2)^2 = (\sigma_2 – \sigma_3)^2 = (\sigma_3 – \sigma_1)^2 = 2\sigma_S^2 $$
[例題] 金属材料の疲労き裂に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。[技術士一次(金属)]
(1) 疲労き裂の進行方向は、円弧状のビーチマークに垂直であるため、ビーチマークから疲労破壊の起点を推定することができる。
(2) 高強度材料における疲労破壊の起点は、内部の介在物が起点となることがあ る。この場合、起点となった介在物周辺の破面は円形模様を呈し、これをフィッシュ・アイと呼んでいる。
(3) 疲労き裂伝播速度$$(da / dn)$$-応力拡大係数範囲$$(K)$$線図上の中間領域では、ノート則$$da / dn=C(K)^m$$が成立する。ここで$$C$$および$$m$$は、材料定数である。
(4) 延性材料の疲労破面にみられるストライエーションの一筋一筋の間隔は、1 サイクル当たりのき裂伝播速度を与える。
(5) 延性材料の疲労破面上のストライエーション間隔対き裂伝播速度関係、き裂伝播速度対き裂先端の応力拡大係数範囲関係から、破壊力学によってその部材に作用している荷重レベルを概略推定できる。
[解説] (5) × 疲労き裂の進展は単純にストライエーションだけで決まるものではなく、他の機構もいろいろ関与していることから考えれば、破壊力学によってその部材に作用している荷重レベルまでも推定できるものではない。
ストライエーションSと応力拡大係数$$Δ K / E $$の関係は、
$$S ≒ 6(Δ K / E)^2$$
となる。(1),(2),(3)および(4)は正しい。
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