力率改善の効果
- よみ
- りきりつかいぜんのこうか
電力系統は三相回路が主体であるから、三相電気回路を念頭に力率改善の効果を考える。
いま、(a)図の三相送配電系統において、有効電力$$P〔\mathrm{W}〕$$、遅れ力率$$\cos \theta$$の負荷に電気を供給している。線路の抵抗およびリアクタンスを$$R〔\mathrm{\Omega}〕$$および$$X〔\mathrm{\Omega}〕$$とし、それ以外の線路定数は無視する。
また、線路の電流を$$I〔\mathrm{A}〕$$、送電端電圧を$$V_S〔\mathrm{V}〕$$、受電端電圧を$$V_R〔\mathrm{V}〕$$とすると、有効電力$$P〔\mathrm{W}〕$$、電圧降下$$\Delta V〔\mathrm{V}〕$$、電力損失$$P_l〔\mathrm{W}〕$$は、(b)図のベクトル図を参考に次式で与えられる。
\begin{eqnarray}
P&=&\sqrt{3} V_{R} I \cos \theta \\
\Delta V &\fallingdotseq&\sqrt{3} I (R\cos\theta+X\sin\theta) \\
P_l&=&3I^2 R
\end{eqnarray}
上式より、次式が成立する。
\begin{eqnarray}
I&=&\dfrac{P}{\sqrt{3} V_{R} \cos \theta} \\
\Delta V &=&\dfrac{P}{V_R} (R+X\tan\theta) \\
P_l&=&\dfrac{P^{2} R}{{V_{R}}^{2} \cos^{2} \theta}
\end{eqnarray}
線路の電流$$(I)$$は力率に反比例するから、線路および変圧器などの機器の所要容量は、力率に反比例して減少することを示している。電圧降下$$(\Delta V)$$は、力率$$(\cos\theta)$$が大きくなれば$$\tan \theta=\sqrt{1−\cos^{2} \theta}/ \cos\theta$$ が小さくなり、電圧降下が減少することを示している。また、線路の電力損失$$(P_l)$$は、力率の2乗に反比例して低減することを示している。
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