ファラデーの法則
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- ふぁらでーのほうそく
電気分解のとき、流れた電気量と生成または消費された物質の量との関係を示した法則で、次の関係がある。
(1) 陰極または陽極で変化した物質の量は通じた電気量に比例する。
(2) それぞれの物質1グラム当量を生成させるに要する電気量は、物質に関係なく一定である。
例えばある物質$$W〔\mathrm{g}〕$$を析出させるに要する電気量を求めてみると、通過電気量$$Q$$は通電電流を$$I〔\mathrm{A}〕$$、通電時間を$$t〔\mathrm{s}〕$$として、
$$Q=It〔\mathrm{C}〕$$
電子の電荷量を$$1.6 \times 10^{-19}〔\mathrm{C}〕$$とすると電子の数$$N$$は、
$$N=\frac{It}{1.6 \times 10^{-19}}$$
である。これをモル数$$m$$になおすと$$1〔\mathrm{mol}〕$$は$$6.02 \times 10^{23}$$個だから、
$$m=\frac{N}{6.02 \times 10^{23}}$$
$$=\frac{It}{6.02 \times 10^{23} \times 1.6 \times 10^{-19}}〔\mathrm{mol}〕$$
すなわち、$$m〔\mathrm{mol}〕$$の電子が反応に関与したことになる。ここで電解物質の価数(イオン価)を$$n$$とすると、電解液中ではこれら電解物質はイオンとなっているので、1個の物質として析出するためには$$n$$個の電子を受け取る(または放出する)必要がある。すなわち析出する物質の量としては、
$$\frac{m}{n}〔\mathrm{mol}〕$$
となり、析出量$$W$$は物質の原子量を$$M$$とすると、
$$W=\frac{m}{n} \times M〔\mathrm{g}〕$$
となる。$$m$$に前掲の式を代入すると、
$$W=\frac{M}{n} \times \frac{It}{6.02 \times 10^{23} \times 1.6 \times 10^{-19}}$$
$$=\frac{M}{n} \times \frac{It}{96500}〔\mathrm{g}〕$$
となる。この式よりファラデーの法則の第1項、すなわち、析出量は電気量に比例するということが証明される。
次に$$M/n$$はグラム当量であるから、
$$It=\frac{W}{M/n} \times 96500$$
とおいて、$$W$$を1グラム当量だけの重さ$$W=M/n$$とすると、
$$It=1 \times 96500$$
となり、1グラム当量析出させるには物質の種類に関せず$$96500〔\mathrm{C}〕$$の電気量が必要となり、第2項が証明できる。なおグラム当量とグラムを間違えないようにする必要がある。同じ重さの物質を析出するのに同量の電気量が必要だというわけではない。
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