はずみ車効果
- よみ
- はずみぐるまこうか
はずみ車は、負荷のトルク変動が激しい場合に、電動機と負荷の間に取り付ける鉄製の重い車で、フライホイールともいう。電動機で負荷とともに常時、はずみ車を回転させておくと、負荷トルクが急激に増加したとき、電動機の回転数は下がろうとするが、このとき、はずみ車は慣性モーメントにより、等速運動を続けようとするので、負荷はこのエネルギー(トルク)をもらって回転するから、電動機は定速運転ができる。このように、負荷トルクの変動に応じてはずみ車がエネルギーを放出したり、吸収することをはずみ車効果という。
はずみ車の全重量を$$G〔\mathrm{kg}〕$$、直径を$$D〔\mathrm{m}〕$$とすると、はずみ車効果は$$GD^2〔\mathrm{kg \cdot m^2}〕$$で表され、重量が重く(特に外周部が重いものほどよい)、直径が大きいものほど効果は大きい。一般には、慣性モーメント$$J$$の4倍、すなわち$$4J〔\mathrm{kg \cdot m^2}〕$$をはずみ車効果という。
はずみ車効果が大きい場合、電動機の始動あるいは制動時間が短いときは軸に大きなねじれ応力がかかり軸を破損する。また、慣性のため始動時間が長いときは電動機を加熱するので、電動機の選定にあたってはこれらを考慮する必要がある。
また、回転体の慣性の大きさを示す$${GD}^2$$。水車発電機の負荷遮断時の速度上昇率$$\delta_s$$は、次のように$${GD}^2$$と関係がある。
$$\delta_s \propto \frac{2t+T}{{GD}^2}$$
$$t$$:不動時間、$$T$$:閉鎖時間
$$G$$:回転体重量、$$D$$:回転体直径
速度上昇を抑制するには、$$T$$をあまり短くすると水圧が上昇して危険なため、回転体の重量と直径を大きくして、はずみ車効果$${GD}^2$$を増すのが有効とされ、水車発電機の回転子は、厚さが薄く直径の大きい扁平な形に設計されることが多い。$${GD}^2$$は、$$〔\mathrm{kg \cdot m^2}〕$$または$$〔\mathrm{t \cdot m^2}〕$$を単位とする数値で示され、回転部の慣性モーメントの値の4倍であり、回転体の慣性の大きさを示している。
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