直列コンデンサ
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- ちょくれつこんでんさ
線路の誘導性リアクタンスを打ち消して、電圧降下を減少させ、かつ電圧変動を小さくすることを主たる目的として、送配電線に直列に挿入する電力用コンデンサ。
電線1条の抵抗を$$R$$、誘導性リアクタンスを$$X_L$$とし、線路電流を$$I$$、負荷力率を$$\cos \theta$$(遅れ)とすれば、線路に発生する電圧降下$$v$$の略算式は、
$$v=KI(R \cos \theta+X_L \sin \theta)$$
(単相2線式:$$K$$ = 2、三相3線式: $$K$$ = $$\sqrt{3}$$ )
である。誘導性リアクタンス$$X_L$$を直列コンデンサの容量性リアクタンス$$X_C$$で補償して、合成リアクタンスを$$X=X_L – X_C$$ とすれば、電圧降下$$v′$$は、
$$v′ =KI(R \cos \theta+X\sin \theta)$$
となり、$$v′ < v$$の関係がある。すなわち、同一線路、同一負荷で直列コンデンサを設置すれば、電圧降下は小さくなる。ここで、直列コンデンサは負荷が大きくなるほど、また負荷の力率が遅れ側に悪くなるほど、電圧降下を補償する働きが強くなる傾向があり、無負荷においてはこれを設置しない場合と比較して、電圧の大きさに全く違いがないという性質がある。このことは、並列コンデンサが無負荷~軽負荷時に負荷電圧を不必要に上昇させることに比べて、電圧調整をするうえで都合のよい性質である。
以上に述べた電圧降下の低減作用のほかに、直列コンデンサの副次的な働きとして、線路のリアクタンスが減少する結果として送電容量を増加させる利点もある。その反面、適当な過電圧保護装置を必要としたり、系統の条件によっては種々の異常現象が起こるという欠点もある。
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