伝達関数と状態方程式
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- でんたつかんすうとじょうたいほうていしき
スカラシステムの場合の式は伝達関数となり次のように表される。
$$C(s)=\frac{N(s)}{D(s)}$$ (3)
ここで、$$D(s)=0$$を満たす複素数$$s$$を$$G(s)$$の極といい、$$N(s)=0$$を満たす$$s$$を$$G(s)$$の零点という。
[例題]
次の伝達関数を持つシステムの特性根と安定性の正しい組み合わせを選べ。
[技術士一次]
$$\frac{\quad\quad 1\quad\quad}{s^2+3s+2}$$
(1) 1、2、安定 (2) 1、2、不安定
(3) 1、-2、不安定 (4) -1、–2、安定
(5) –1、–2、不安定
[解説]
伝達関数の(3)式により、
$$C(s)=\frac{N(s)}{D(s)}=\frac{\quad\quad 1\quad\quad}{s^2+3s+2}$$
とおくと、$$D(s)=0$$になる周波数を極といい、システムの安定の判別の指針となる。
したがって、この二次方程式の解を求めると、
$$s^2+3s+2=(s+1)(s+2)=0$$
∴ $$s=-1, -2$$
ここで、すべての解が負であるときのシステムは安定性があるという。
したがって、この条件を満たすものは、(4)である。
[例題]
タンクの中に液体が満たされており、この液体に単位時間当たり$$q〔\mathrm{J/s}〕$$の熱量を加えると、入力を$$q$$、出力を液体の温度$$T〔\mathrm{K}〕$$と考えるとき、この系の伝達関数を求めよ。ただし、液体の熱容量を$$C$$とし、タンク壁への熱伝達を無視できるものとする。[技術士一次]
(1) $$\frac{1}{Cs}$$ (2) $$\frac{1}{Cs^2}$$ (3) $$\frac{1}{C(s+1)}$$
(4) $$\frac{1}{C(s-1)}$$ (5) $$\frac{1}{C(s-1)^2}$$
[解説]
(2)式より、ラプラス変換$$Y(s)$$は、$$x(t)$$のラプラス変換$$X(s)$$を用いて次式で表される。
$$Y(s)=W(s) \cdot X(s)$$
具体的に$$y(t)$$を知りたい場合は、$$Y(s)$$にラプラス逆変換の規則を適用すればよい。
したがって、タンクの中に液体に単位時間当たり$$q〔\mathrm{J/s}〕$$の熱量を加えると、このときの入力を$$q$$、出力を液体の温度$$T$$、熱容量を$$C$$とすると、ラプラス変換により、
$$C \cdot s \cdot q(s)=T(s)$$
この式から、
∴ $$q(s)=\frac{1}{Cs}T(s)$$
したがって、正解は(1)である。
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