1. E&M JOBS ホーム>
  2. 用語辞典>
  3. 環境

環境

よみ
かんきょう
英語
enviromental

 最近の重要な地球環境の問題で、産業との間に、国内法や国際条約の締結がなされているが、特に、国際条約で国によって立場が異なり、必ずしも円滑に行っていない面がある。この環境の問題が技術士試験に頻繁に出題されている。

(1) ISO 14000シリーズ

 ISO 14000シリーズは、環境マネジメントシステムに関する規格で、ISO 9000シリーズと同様に、PDCAサイクル方式が採用されている。

(2) 汚染者負担の原則

 OECDが1972年に提唱し、現在では環境政策の国際的指針となっている考え方で、環境汚染問題解決の費用は、汚染者が支払うべきであるというものである。その費用は製品原価に内部化され、最終的には消費者に転嫁されることも容認されている。

(3) 南北問題

 南北問題とは、地球温暖化問題に関して化石燃料をこれまで多量に消費してきた先進国の問題であって、途上国にも消費の削減を求めるのはおかしいとする。

(4) 京都会議

 1997年12月に京都で開かれた京都会議では、地球温暖化防止についての目標や具体的な取り組みをまとめた。アメリカ等の反対で議定書の作成にまで至っていない。

 

 

[例題]

 環境問題に関係する説明で、次のうち最も適切なものを選べ。[技術士一次(基礎)]

(1) 京都会議は最大の環境問題といわれるオゾン層の破壊についての国際的な取り決めを行った会議である。

(2) ローマクラブの「成長の限界」は「宇宙船地球号」という概念とは相反する内容をもっている。

(3) ダイオキシンは人体に対して猛毒であり、イタリアのセベソで起こった有名なダイオキシンを含む化学物質の放出事故では、事故発生後に多くの死者を出した。

(4) 有害廃棄物の越境移動に関する国際的な取り決めは、スイスのバーゼルで調印されたことから、“バーゼル条約”と呼ばれる。

(5) トキを始め絶滅が心配される動物が急激に増えてきたが、もし多くの生物が絶滅するようなことがあれば、それは地球の長い生物史上、初めてのことである。

 

[解説] 正解(4)

(1) 適切ではない。京都会議は「地球温暖化」防止についての目標や具体的な取り組みをまとめた会議である。

(2) 適切ではない。ローマクラブの「成長の限界」は、1972年に発表した報告書に記載された内容で、今後100年以内に、地球上の経済成長は限界に達するので、その対策として経済成長を世界的に平均化した均等な経済へ移行する必要を説いたものであり、「宇宙船地球号」とは、フラーが1960年に発表した概念であり、地球を船に見立てて、地球上の資源は有限であるので全人類が幸福に暮らしていくために、その対策として何らかの適切な措置の必要性を説いたもので、両者には同思想が提唱されている。

(3) 適切ではない。ダイオキシンは人体に対して猛毒であり、イタリアのセベソで起こった有名なダイオキシンを含む化学物質の放出事故では、家畜などが大量に死亡したが、住民には皮膚炎の発疾が見られたが、事故発生後に住民には死亡者はいなかった。

(4) 適切である。有害廃棄物の越境移動に関する国際的な取り決めは、スイスのバーゼルで調印されたことから“バーゼル条約”と呼ばれる。

 日本から廃棄物として外国に出るもののなかに有害物質が含まれていることは条約で禁止されている。

(5) 適切ではない。トキを始め絶滅が心配される動物が急激に増えてきたが、もし多くの生物が絶滅するようなことがあっても、それは地球の長い生物史上、多くの生物には進化と絶滅の歴史が繰り返されている。

 

 

[例題]

 人間の活動に起因する、いわゆる「地球温暖化」については、まだ現象や原因が不明な点もあるが、現時点で誤っているものとしてよいものはどれか。[技術士一次(基礎)]

(1) 1998年における中国の一人当たりの二酸化炭素の放出量は同年の日本の一人当たりの放出量の2分の1以下である。

(2) 石炭、石油、天然ガスなどの炭素系の資源を燃料として用いる場合、同じ発生熱量を基準とする二酸化炭素の発生量はほとんど変わらない。

(3) 天然ガスの輸送パイプなどから漏れるメタンなどの炭化水素ガスも温暖化の原因になっている可能性が否定できない。

(4) フロン化合物の大気中の濃度を制御することは、オゾン層の破壊を防止するためにも温暖化を抑制することにも役立つ。

(5) 熱帯雨林が急激に消失していることは、地球温暖化を促進する要因になりうる。

 

[解説] 正解(2)

(2) × 単位発熱量当たりの二酸化炭素の発生量は、石炭を100とすると、石油は80、天然ガスは57と炭素系の資源を燃料として用いる場合でも、同じ発熱量を基準とする二酸化炭素の発生量は石炭、石油および天然ガスの順で「変わらない」ではなく「変化する」。

 

 

[例題]

 環境問題に関する次の記述について、正誤を正しく組み合わせているものを選べ。[技術士一次(基礎)]

ア) 大気に排出される硫黄酸化物および窒素酸化物は、都市の規模で大気汚染問題の原因になると同時に、準地球規模で酸性降下物の問題をもたらす。

イ) 化石燃料に依存しない再生可能なエネルギー源の中で代表的なものは水素ガスであり、燃料電池による発電の普及が期待されている。

ウ) 廃棄物の取り組みとして近年言われる3RとはRetain、Reuse、Recycleであり、これらを通じて処分する廃棄物の量を減らすことがねらいである。

エ) 同量のエネルギーを得るために化石燃料の燃焼によって発生する二酸化炭素の量を天然ガス、石油、石炭の中で比較すると、石炭が最も多い。

    ア イ ウ エ      ア イ ウ エ

(1) 誤 正 正 誤   (2) 誤 誤 正 正

(3) 誤 正 誤 正   (4) 正 正 誤 誤

(5) 正 誤 誤 正

 

[解説] 正解(5)

イ) × 再生可能なエネルギー源の中で代表的なものは水素ガスであり、水素ガスの供給源は、化石燃料でありクリーンエネルギー源として燃料電池による発電の普及が期待されているが、化石燃料に依存しないという点が誤っている。

ウ) × 廃棄物の取り組みとして近年言われる3Rとは「Retain」でなく「Reduce」、Reuse、Recycleであり、これらを通じて処分する廃棄物の量を減らすことがねらいである。

ア)、エ) 正しい。

 

 

[例題]

 環境改善技術に関する次の記述のうち、最も適切なものを選べ。[技術士一次(基礎)]

(1) 代表的な廃水処理法である活性汚泥法は、微生物の作用を用いて水中の汚濁物質を除去する方法である。

(2) 廃棄物焼却施設の運転に当たっては、焼却するごみの質を管理することにより窒素酸化物排出の抑制を行う。

(3) 汚染土壌のバイオレメディエーションとは、植物などの生物が良好に生育するように汚染された土壌を除去することである。

(4) 自動車の排気ガスからの大気汚染を防止するためには、それぞれの自動車に排煙脱硫設備を設置することが有効である。

(5) 汚濁の進んだ河川の浄化法として、膜分離による浄化設備を河川内に設置する対策がその効果とコストの両面で有効である。

 

[解説] 正解(1)

(1) 適切である。

(2) 適切でない。廃棄物焼却施設の運転に当たっては、「焼却するごみの質を管理」ではなく「燃焼温度の制御や排煙処理装置を付加する方法」で窒素酸化物排出の抑制を行う。

(3) 適切でない。汚染土壌のバイオレメディエーションとは、微生物の有する化学物質分解能力を使って有害化学物質などの無害化を促進する技術である。

(4) 適切でない。自動車の排気ガスからの大気汚染を防止するためには、それぞれの自動車は硫化物を含まないので、排煙脱硫設備を設置する必要はない。

(5) 適切でない。汚濁の進んだ河川の浄化法として、膜分離による浄化設備を河川内に設置する対策がその効果を満たすことができるが、コストが高いので、経済的に使用されることは少ない。

 

 

[例題]

 我が国の環境問題に関する次の記述のうち、最も適切でないものを選べ。[技術士一次(基礎)]

(1) 現在、我が国の大気中の浮遊粒子状物質と二酸化窒素は環境基準の達成率が不十分であり、いずれも自動車由来の汚染が問題となっている。

(2) 現在、我が国の大気汚染物質の中では二酸化硫黄の環境基準の達成状況は良好である。

(3) 水域の富栄養化とは環境ホルモン(内分泌攪乱物質)の汚染によってもたらされる現象で、藻類が大量発生するなどの問題が生じる。

(4) 近年水循環の重要性が指摘されており、都市部では雨水浸透などの対策によって本来の水循環を復活させる試みが行われている。

(5) 我が国のダイオキシンの主たる排出源は廃棄物の焼却であるため、排出防止の対策が進められている。

 

[解説] 正解(3)

(3) 適切でない。水域の富栄養化とは「環境ホルモン(内分泌攪乱物質)の汚染」ではなく「栄養塩類の増大が起こることによって植物性プランクトンが増加し、赤潮や青潮」などの現象であり、環境ホルモンの汚染現象ではない。

(1)、(2)、(4)および(5)は適切であり、正解は(3)である。

カテゴリ

カテゴリーから探す