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応力−ひずみ曲線

よみ
おうりょく-ひずみきょくせん
英語
stress-strain curve

14-1 JIS の14号試験片を用いて引張試験を行い、試験片が破断するまでの過程で、引張試験機で付随して描かれるもので、荷重と伸びの関係を測定したものである。

 図において、($$\sigma – \epsilon$$)は公称応力-ひずみ曲線、($$\sigma’ – \epsilon $$)は真応力-ひずみ曲線と呼ばれる。

 

    $$\sigma$$:公称応力は,荷重を変形前の断面積で除した応力

     をいう。

    $$\sigma^{\prime}$$:真応力は、試験中の荷重ごとに直径を随時測定し、その変形時の断面積で除した応力をいう。

    $$\epsilon$$:伸びを元の長さで除したひずみをいう。

    $$\sigma_p$$:比例限度は、$$\sigma$$$$\epsilon$$に比例関係が成立するときの最大の応力をいう。

    $$\sigma_e$$:弾性限度は、$$\sigma$$$$\epsilon$$が弾性領域にある最大の応力をいう。

    $$\sigma_{yu}$$:上降伏点は、軟鋼のみに明確に描かれるものでD点では応力がやや低下し、 ゆるやかに応力が上下動しひずみのみが増加する。

    $$\sigma_y$$:下降伏点は、上降伏点を経過後再び応力が増加する点をいう。一般に、この点を降伏点といい、降伏点強さはこの点を基準として計算する。

    $$\sigma_B$$:極限強さは、その材料の耐え得る最大の応力をいう。

    $$\sigma_z$$:破断強さは、試験片が破断するときの応力をいう。

 

 [例題] 次のうち、弾性域と塑性域における応力ーひずみ関係を示すものを選べ。[技術士一次]

 (1) フックの法則と$$n$$乗硬化則

 (2) フックの法則と降伏条件(弾性破損条件)

 (3) フックの法則とカスチリアノの定理

 (4) 降伏条件(弾性破損条件)と$$n$$乗硬化則

 (5) 降伏条件(弾性破損条件)とカスチリアノの定理

 

14-2 [解説] フックの法則とは、応力-ひずみ線図のうち、比例限度内で物体に外力が作用したとき、材料の種類が同じであれば応力とひずみの比は常に一定値になることをいう。フックの法則は、$$\sigma=\varepsilon E$$[$$\sigma$$:応力、$$E$$:縦弾性係数(ヤング率)、$$\epsilon$$:ひずみ]で表され、弾性域(slasticregion)における応力-ひずみ関係を示すものだけでなく機械設計上の重要な公式でもある。

 $$n$$乗硬化則とは、$$\sigma=F\varepsilon^n$$[$$n$$:n値(材料の種類によって一定値)は加工硬化係数、$$F$$:塑性係数]で表され、n値が大きいほど加工硬化の程度が増し塑性域(plasticregion)が大きくなる。$$n$$乗硬化則は、塑性域における応力-ひずみ関係を示すものであり、塑性工学上の重要な公式でもある。

 したがって、正解は(1)である。

 

 ・降伏条件(弾性破損条件)とは、応力および荷重が一定のままひずみおよび伸びが増大し破損に至る現象をいう。

 降伏条件の代表的なものとして、トレスカの降伏条件(最大せん断応力説)とミーゼスの降伏条件(せん断ひずみ応力説)がある。

 トレスカの降伏条件では、最大主応力は微小正方形の応力分布を考える際に、任意の断面の垂直応力の最大値と最小値が現われ、この最大のものを最大主応力という。ミーゼスの降伏条件では、金属材料ではせん断変形によって蓄えられるエネルギーに限界値があって、これを超えるとすべりが生じて降伏するという。二つのいずれの説も弾性域および塑性域における応力とひずみの関係を示すものではない。

 

 ・カスチリアノの定理は、外力$$W_1,W_2,W_3,\ldots$$が作用して物体に蓄えられる弾性エネルギーを$$U(W_1,W_2,W_3,\ldots)$$で表せば、荷重$$W_i$$の作用点の荷重方向の変位$$λ_i$$は次式で表される。

 

          $$\lambda_i=\frac{\partial\overline{U}}{\partial W_i}$$

 

この定理も弾性域および塑性域における応力とひずみの関係を示すものではない。

 

 [例題] 金属材料の応力ーひずみ線図に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。[技術士一次(金属)]

(1) 引張試験において、真応力$$\sigma$$と真ひずみ$$\varepsilon$$との関係を$$\sigma = \kappa\varepsilon n$$で表すとき、$$n$$を加工硬化指数、および$$\kappa$$を加工硬化係数という。

(2) 応力ーひずみ線図に表される上降伏点は転位が固着するコットレル雰囲気から転位を引き離す応力であるとの考え方がある。

(3) リューダース帯が拡がっている間は、ほとんど一定の応力(下降伏応力)で変形が進む。降伏応力といえば通常この下降伏応力(下降伏点)を意味する。

(4) 特定の材料・環境条件下における引張試験の過激荷重の急激な低下が生じてそれが繰り返され、応力ーひずみ線図上に鋸刃状の変形が生じるが、この現象をセレーションという。

(5) ひずみ時効は、材料が降伏後除荷したのち時間をおくことによって置換型金属原子が転位のところへ拡散・侵入し、再びコットレル雰囲気を形成するために起こる現象である。

 

 [解説] (1) × $$\kappa$$は「加工硬化係数」ではなく「変形抵抗」という。

 (2)、(3)、(4)および(5)はそれぞれ正しい。正解は(1)である。

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