S−N曲線
- よみ
- えすえぬきょくせん
- 英語
- S−N curve
疲労試験で材料の疲労強度を求めるもので、一定の振幅応力ごとに数種類以上の試験片に与えて破壊されるまでの応力繰返し数を対数で記録し、縦軸を振幅応力、横軸を応力繰返し数の対数としてグラフ化したものを$$S-N$$曲線という。鉄鋼材料では、図の(a)のように$$10^6~10^7$$回以上で水平となる部分があり、この振幅応力以下であれば永久使用が可能であると、設計上安全率と同様に利用されている。
図の(b)のような場合には、非鉄金属が当てはまり、初期の振幅応の設定を小さくし、さらに、振幅応力を低下させて疲労試験を継続する必要がある。この試験は長時間を要するため、使用の実態を把握し負荷形式を設定することが重要であり、繰返し垂直応力に対して引張圧縮、回転曲げ、平面曲げがあり、繰返しせん断応力に対してねじり疲労試験が実施される。
ここで、繰返し応力の最大値を$$\sigma_{max}$$、最小値を$$\sigma_{min}$$とするとき、$$(\sigma_{max}+\sigma_{min})/2$$ を平均応力$$\sigma_m,(\sigma_{max}+\sigma_{min})/2$$ を応力振幅$$\sigma_a,\sigma_{min}/\sigma_{max}$$ を最小最大応力比$$R$$という。
[例題] 疲労試験の$$S-N$$曲線に関して明らかに誤っているものを選べ。[技術士一次]
(1) $$S-N$$曲線は縦軸に応力振幅値、横軸に破断までの繰返し数の関係を示したものである。
(2) 繰返し数がある値以上になると応力振幅は一定になる。
(3) 繰返し数が大きくなっていくと応力振幅も大きくなる。
(4) 鋼材の疲労限度はおよそ$$10^7$$回以上で与えられる。
(5) 疲労限度とは無限回の繰返しに耐える応力振幅の下限値である。
[解説]
(3) × 図1-9に示すように,応力振幅が大きい状態では繰返し数が小さく、応力振幅が小さい状態では繰返し数が大きくなっていくために(3)は誤っている。
(5) × 疲労限度とは無限回の繰返し荷重に耐える応力振幅の「下限値」ではなく「上限値」である。したがって,水平な線で示される応力「上限値」以下の応力を無限回数繰返しても破断しない状態を疲労限度(fatiguelimit)という。非鉄金属の疲労限度では、図1-9(b)のように繰返し数が$$10^8$$回以上でも水平にならない場合もある。
(1)、(2)および(4)は正しい。
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