【トヨタ系企業・年収比較】グループ内格差は縮小傾向も、いまだ最大300万円の差

2017.01.19
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自動車業界で不動の地位を築いているトヨタグループ。関連会社や子会社を含め600社以上の企業があります。「トヨタ本社ではなくても、トヨタ系列のメーカーに入れば安心」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そこでトヨタグループ各社の平均年収から、グループ内で格差はあるのか、どの企業が伸びているかなどを調べてみました。

商社強し!年収1位はトヨタ通商

まずは最新の有価証券報告書のデータをもとに、トヨタグループ16社のうち上場している10社とダイハツ(※)の平均年収と平均年齢を見てみましょう。
※ダイハツは2016年7月上場廃止し、トヨタの完全子会社化

1位は総合商社の豊田通商で、平均年収は953.2万円(平均年齢41.1歳)。2位はグループの中核・トヨタ自動車の851.9万円(38.9歳)、続く3位は自動車部品で国内最大手のデンソーの834.4万円(43歳)となりました。
もっとも平均年収が低いのは日野自動車で、650.3万円(36.8歳)です。 119de54ff1c0e07d2fae207cc8d1a6e6 1位の豊田通商と2位のトヨタ自動車では、101.3万円もの大差がついています。一方、2位のトヨタ自動車と3位のデンソーの間では17.5万円で、僅差となっています。
一般に、製造業よりも商社のほうが平均年収は高い傾向にありますが、トヨタグループ内でもその構図を見ることができます。

年収アップ率は完成車メーカーに軍配

今度は、5年前の2010年度と比較した平均年収のアップ率を見てみましょう。

下のグラフでは、縦軸が平均年齢、横軸が年収のアップ率、そして円の大きさが2015年度の平均年収を示しています。 トヨタ系企業・年収比較_図 5年前と比べた年収のアップ率を見てみると、1位はトヨタ自動車の17.2%、2位は日野自動車の16.4%。いずれも完成車メーカーで、部品や素材を扱うグループ会社よりも年収を伸ばしています。 トヨタ自動車の年収アップ率の背景には、アベノミクスによる円安の影響が考えられます。
トヨタ自動車の5年前の平均年収は727.1万円で、デンソーの766.7万円を40万円近く下回っていました。しかしこの5年のうちに逆転し、2015年度はグループ内で2位の年収となっています。

日野自動車は、平均年収が650万円(平均年齢36.8歳)でもっとも低いものの、アップ率では2位。業績の面では、国内のトラック販売で長年に渡って首位を独占しているほか、近年はタイやインドネシアでの販売が好調です。

また、デンソーは、平均年収では3位にランクインしているものの、伸び率は8.8%と6位。デンソーは自動車部品メーカーとして世界トップレベルの売り上げを誇っているものの、円安による原材料価格の上昇などによって費用も増大しています。

自動車関連の好調により、格差は縮小中

5年前と比べて唯一年収がダウンしているのは、2.6%減の豊田通商です。2014年後半に原油価格が急落した影響から、2016年3月の決算では16年ぶりの最終赤字となっています。それでも平均年収はグループトップの953万円。ただし、大手商社5社の平均年収が1300万円台であることからすると、商社のなかでは低いとも言えます。

グループ内での格差を考えてみると、2015年度は1位の豊田通商と11位の日野自動車では、302.9万円もの差がありました。しかし5年前は豊田通商が978.4万円、日野自動車は558.7万円と、419.7万円差。5年前と比べ、差は縮まっていると言えます。

このように、同じトヨタグループでも扱う製品や業態によって年収には大きな差ができています。また、グループ内の1社が好調だからといって、すべての会社に影響するというわけでもありませんので、各社の動きをしっかり注視する必要がありそうです。

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