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バルブ制御技術 燃費と出力を両立するために電動アクチュエーター含む様々な制御方式を各社採用

[2018.03.01]
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世界的にパワートレインの電動化が話題になるなかで、燃費規制対応の中心が依然として内燃機関の効率改善にあることは多くの自動車メーカーの共通認識である。

内燃機関の熱効率を高めるために、摺動部品の摩擦損低減や徹底した熱管理、気筒休止や可変圧縮比など、構成部品とシステムの両面から様々な研究開発が続けられている。

その中でも、エンジン回転数に応じて吸排気バルブの開閉タイミングや開閉量、開閉時間を自在に制御する可変バルブリフト(VVL)および可変バルブタイミング(VVT)は、燃費改善と出力向上を両立するための基本技術として、ほぼ全ての自動車メーカーが採用し、性能向上を目指した開発を継続的に推進する。

機能別エンジンバルブタイミング技術区分を表した樹形図。可変バルブ機構から枝分かれし、採用している自動車メーカーの搭載事例までを表す。

VVTは1980年代にGMFiatなどの欧米自動車メーカーが開発に先鞭を付けたが、1990年代には日系自動車メーカーが幅広いモデルで採用した。

2000年代以降は、欧米系自動車メーカーがエンジンのダウンサイズ化に合わせてVVTの導入を進めてきた。

VVT技術をエンジンの燃焼にどのように応用するかは各自動車メーカーによって様々であるが、代表的な例として吸気バルブを早閉じもしくは遅閉じするミラーサイクルが挙げられる。

熱効率を上げるには、膨張比(圧縮比)を高めることが一つの選択肢となるが、圧縮比が高すぎるとノッキングなどの異常燃焼を生起しやすい。そこで吸気バルブの開閉タイミングをずらし、吸気の充填効率を低くすることで、膨張比を維持しつつ実質的に圧縮比を下げる。

この技術は既に多くのメーカーが採用しているが、新しいところでは、VW20164月に発表した新型EA211 TSI evo 1.5ℓエンジンに、吸気バルブ早閉じ(EIVC)技術によるミラーサイクルを採用した。

燃焼状態の悪化を抑えるために350Barの高圧燃料噴射装置と可変ターボなどで補完し効率を改善した。

FCA2016年にブラジルで発表した新開発のGlobal Small EngineFireflyエンジン(排気量1.0/1.3)では、位相可変型の可変バルブタイミング技術(CVCP)を用いたミラーサイクルを実現。定速走行時などエンジンが部分負荷の状態にある際、CVCPがカムシャフトの回転を40度遅らせる。

これにより、吸気バルブを遅閉じし、膨張比を上げ、ポンピングロスを低減するとしている。また、日産は2012年のNoteに初搭載したHR12DDRエンジンにミラーサイクルを採用。吸気バルブを通常より長く開きポンピングロスの低減を図っている。

VVTの派生である可変バルブリフト(VVL)を採用するメーカーも多い。

マツダは2012年頃に導入した新型乗用ディーゼルエンジンSKYACTIV- Dにおいて、吸気側バルブにVVL(可変バルブリフト機構)を採用。

始動後の暖気運転中に起きうる半失火状態を抑制したほか、吸入行程中にわずかにバルブを開き、排気ポート内の高温の残留ガスをシリンダー内に逆流させ、空気温度を高め、圧縮時の温度上昇を促進し、着火安定性を図った。

また、現代自/起亜も2014年より導入した新開発のNuエンジン(1.8ℓおよび2.0ℓ)でVVL技術を導入。現代自/起亜では、連続可変バルブ機構と呼ばれるCVVLで、従来のVVTに加え、エンジン回転数に応じてバルブのリフト量を可変して吸気量を調整し、エンジン始動初期の不完全燃焼のガス量の低減と、高出力時の動力性能を両立する。

<FOURIN世界自動車技術調査月報より転載>