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世界の自動車部品メーカーが着目する熱効率向上と車体軽量化の開発技術

[2018.02.05]
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電動車の開発・製品投入計画と並行して世界の自動車・部品メーカー各社が進めているのが、電動車と内燃機関車の両方の開発を同時に進めるデュアルストラテジーである。

デュアルステラテジーはBEVをはじめとした電動車の価格がなかなか安くならず、将来安くなる可能性があるといってもなお、バッテリーコストの低減が確実ではない中で、自動車メーカー、部品メーカーが選択する両睨み戦略で、現実にビジネスを展開する上で、当然あるべき姿とも言える。

内燃機関 燃焼の改善と機械損失低減

内燃機関の開発課題は、熱効率向上につきる。

化石燃料のエネルギー密度は高いが燃焼を通じてエネルギーを取り出すことから、熱効率は電気をそのまま使用する電気自動車に比べると低下する。

だが、内燃機関でも定置型発電エンジンや、大型船舶用エンジンなど一定の条件下では50%以上熱効率を持つ内燃機関も存在する。

世界の自動車メーカーの内燃機関車開発のトレンドは現行の内燃機関の熱効率の良い部分を拡大することと、熱効率が悪い部分を電動エネルギーなどでアシストすること、さらには、いったん発生した熱エネルギーや運動エネルギーをできるだけ使い切ることに主眼が置かれている。

内燃機関の熱効率向上に向けては、燃焼そのものを改善するために、リーンバーン条件下で安定したエンジン燃焼を重視するため、気筒内タンブル流制御、スワール制御と等の混合気制御とともに、点火改善、火花改善のためのプラグ開発、さらにノッキング、プレイグ改善のためのシリンダー形状・表面材開発、燃料噴射圧や噴射パターンの最適化、シリンダー内面の断熱内面温度管理等が取り組まれている。

機械損失低減面ではシリンダー内表面処理やストン、ピストンリグ、さらには、動弁制御系機械部品に対するコーティングの適用。

ポンプ損低減に向けてはエンジンバルブタイミング制御やバルブリフト量制御、バルブディスアクティベーション制御の採用が拡大しつつある。

エンジンの始動時と低速域の効率を上げるため電動モーターを活用する48Vマイルドハイブリッドシステムの採用もまた、熱効率改善の観点から採用の拡大が見込まれる。

排ガス規制強化・燃費規制強化と、内燃機関の改善、電動技術の活用の関係を表した図

もう一つの焦点、アルミ、樹脂、他軽量化材料の採用と複合化の進展

軽量化材料を使った車体重量の軽量化は内燃機関搭載車の熱効率向上、燃費改善に大きく影響することから、世界の自動車産業は年率約1%の車体軽量化を課せられている。

さらに電動化が進む中で、バッテリー搭載規模を増やした分も含めて軽量化対策が問われる。

ただ、軽量化材料の採用は工法転換を伴うものが多く初期投資が嵩むことから、大規模な製品切り替え、採用技術の切り替え時期に合わせて採用が拡大する。

その点、世界各社の電動車戦略が本格化する2018年はビッグチャンスとなる。

初期投資は大きいが、材料転換にまで遡る設計変更は、生産設備投資を大幅に縮小する可能性もあることから、自動車メーカー、部品加工メーカー、材料メーカーが軽量化材料、溶接・接着、加工・製造工法分野にかかわる基礎技術開発を強化している。

中でも、超高張力鋼、アルミ材、樹脂材、マグネシウム料の採用拡大は今後も進む。うち、超高張力鋼、アルミ材、樹脂材が、2018年も軽量化の中心になる。

すでに軽量化もまた一巡していることから、今後は2020年代の電動戦略車用プラットフォームに採用される部品やシステムの軽量材の採用提案が重要な鍵を握る。

電動化の動きでバッテリーが重くなる分、軽量化とともに衝突安全性、走行安定性に関連した剛性強化は必須課題となる。軽量化と高剛性、高強度の両立がより強く求められるようになる。

この点で、樹脂とアルミ、樹脂とスチールの複合採用もまた拡大が見込まれる。この他、部分的な軽量材の採用に伴い、異材結合・接合技術の獲得が重要である。

また、電動車用バッテリーパックの搭載を含んだ軽量・高剛性シャシシステムの開発提案が、新しい電動車専用プラットフォームを開発する際の重要開発課題となる。

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FOURIN世界自動車技術調査月報より転載>