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量産競争段階に入る電動車、 地域差目立つ自動運転・コネクテッド・モビリティー戦略

[2018.02.02]
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2017年に米国のZEV規制が強化され、中国のNEV規制が2019年に開始されることが決まった。

内燃機関搭載車を将来的に販売禁止しようとする動きが先進国、新興国を問わず拡大。2020年代に向けた成長期待が最も高いインドもまた、2030年をめどに全新車販売を電気自動車(BEV)化するとの意向を政府が打ち出した。

2018
年も、電動化を進める世界全体の動きに変化はない。燃費規制強化とZEV販売義務化、内燃機関のみで動く車に対する規制を厳しくする国・地域が拡大することも世界の流れになるだろう。

だが、BEVが実際に市場で普及するには製品自体が市場から受け入れられる価格水準と魅力を獲得すること、それを製造する自動車メーカー・部品メーカーが電動車ビジネスを通じて適切な収益を上げることができ初めて成立する。

政府目標も企業目標も華々しく語られる時代は終わり、地に足の着いた具体的で経済合理性を伴うBEVの製品技術、生産技術、ビジネスモデル獲得に向けた動きが2018年の新たな特徴になると考えられる。

このBEVの現実的な普及議論は、内燃機関の燃費改善努力の重要性を改めて認識させるものとなる。

2017
年夏にマツダが第2世代SKYACTIVとなるSKYACTIV-Xを開発して技術発表、2019年に発売する新車より搭載を開始する。

2017
年に可変圧縮比エンジンを発表した日産、新世代ダウンサイズ直噴ターボエンジンを発表したトヨタ等に続いて、世界の自動車メーカーが新世代内燃機関を搭載した車種展開を拡大する。

マツダが主張するように、世界の自動車燃費をWell to Wheelで評価する機運が高まれば、現実的なCO₂排出量削減策を内燃機関搭載車で進める動きが強まる。


BEV
シフトが現実路線で語られるようになれば、Well to Wheelの考え方が世界の燃費規制に広がる可能性は高い。

自動運転・コネクテッド・モビリティーサービス 国・地域に合わせた発展シナリオへ

急激な市場拡大期待が収まり現実的な議論が始まるのは、自動運転・コネクテッド・モビリティーサービス分野もまた同様である。

既に自動運転・コネクテッド・モビリティーサービス分野では、世界の主要国・地域においてそれぞれ取り組みの重点が変わりつつある。

SAE基準でレベル4 (L4)/レベル5 (L5)の完全自動運転技術の獲得を前提としながらも、実際に製品に適用する場合、あくまでも人間による運転をサポートする、あるいはサポートしているようにしか感じさせないL2水準の自動運転にとどめるべきとする陣営。

自動運転を運転手とクルマ側で走行状況や地域によってやり取りする状況を残したL3/L4の自動運転は運転手診断や、やり取りに伴う責任所在が不透明として先送りし、クルマがドライバーの有無を問わず完全自動運転するL4/L5の先行導入を目指す陣営。

ドライバーのサポートが自動運転の本来の目的としてL3/L4の自動運転を目指すが人とクルマの運転のやり取りの難しさを解消するために人工知能を使用してドライバーとの会話を進めながらドライバーに診断されていることを気づかせないようにして自動運転を目指す陣営等に分かれている。

また、国と地域により、自動運転が可能となる地域にも格差ができつつある。

米国のように道路と居住区が明確に分かれているような道路事情の国では一般道路と高速道路の双方から自動運転の進化が進み、ほぼ同時にL5の完全自動運転の実現を目指す。

これに対し、生活道路、一般道路が複雑な日本や中国等アジア地域では、高速道路や専用道路からより高度な自動運転が始まる。

居住区の道路は複雑だが、高速道路や一般道路システムが発達している欧州では高速道路と一般道路での自動運転が同時に先行して実現されるとみられる。

社会的な受容性もまた、国・地域により異なる。2018年はこうした地域・国の特殊性に合わせた現実的な自動運転の高度化に向けた議論が活発化しよう。

コネクテッドとシェア中心にしたモビリティーサービス事業もまた、国・地域で道路交通インフラ、通信インフラ事情、所轄省庁との関係などを背景に、地域・国により実現可能なサービス、活用可能な電波がそれぞれに異なる。

このため、地域・国により異なる発展シナリオが見込まれる。

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その結果、地域・国毎に異なるサービスプロバイダーが存在し、既存自動車メーカーとの協力関係の下に、技術進化と技術適用を検討している状態にある。

コネクテッドやモビリティーサービスを現実的で経済合理性を持ったビジネスとして展開するには、地域性の理解と現地の事情に合わせた製品・サービス作りと技術適用が重要になる。

さらに、モビリティーサービスプロバイダーは、自動車というモビリティー製品を通じて提供するサービスのサイクル、モビリティーを担う製品のモデルチェンジサイクルにも影響を及ぼさざるを得ない。

コネクテッドやモビリティーサービス事業に参入する自動車メーカーには、新ビジネスにふさわしい別の発想で製品モデルサイクルを検討することが問われることになろう。


FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>