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トヨタ 内燃機関・変速機技術戦略レポート

 

内燃機関・変速機戦略

電動パワートレインの開発強化と並行して、引き続き内燃機関の開発も強化。

-電動化を進めるなかでも、HEVやPHEVではモーターと組み合わせで内燃機関が引き続き中心となることから、開発を継続。

-内燃機関の開発において、トヨタの新車両設計構想TNGA(Toyota New Global Architecture)のコンセプトの下、環境性能と走りの良さを両立するエンジンを開発・投入する。

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変速機では、多段化による変速比幅の拡大を進行。エンジンの低回転域での加速性能の向上や高回転域でのエンジン回転数の上昇を抑制。

ロックアップ性能の向上を通じて、ダイレクトな走りを実現し、スポーティーな走りと燃費性能の向上を両立する。

▽熱効率の追求

トヨタは新世代モデルの投入に伴い、内燃機関の熱効率向上を追求。

-4代目Priusでは、エンジンのベースを先代と共通化しながらも、シリンダー内でのタンブル促進や冷却効率化などにより、熱効率40%を実現した。

▽新世代エンジンDynamic Force Engine

2017年に市場投入した新型Camryでは、新エンジン技術Dynamic Force Engineを採用した2.5ℓ直4直噴エンジンを搭載。

-TNGAの車両設計構想の下に、基本構造を見直した新設計エンジンとして開発。出力と燃費性能の両立をコンセプトに開発し、同技術をトヨタの他のエンジン形式にも導入する。

-これまで進めてきたポンピングロスの軽減や、排気や冷却などの各種損失を低減することと並行して、高速燃焼を追求する。

-ナローボア×ロングストローク(90×98mm→87.5×103.4mmに変更)したほか、吸気ポートをストレートタイプに変更。加えて新技術として、バルブシートにレーザークラッド技術を採用した。

レーザークラッドにより、バルブとシリンダーヘッドとの接触部分のシート部分に銅系合金を溶射。これにより、バルブシート部分周辺部分の肉盛りが可能となり耐摩耗性の面から、バルブ配置のレイアウトの自由度が向上。バルブ狭角の拡大が可能となった。ストレートポート化やロングストローク化と合わせて吸気効率を高め、シリンダー内でのタンブル流を強化し、高速燃焼を実現。

-オイルポンプのオイル排出量を運転状況に応じて最適化してフリクション軽減を図った。

-HEV向けのエンジンの熱効率は世界最高の41%を達成。

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トヨタは今後、Dynamic Force Engineの技術を他のエンジンにも拡大。2017年の東京モーターショーでは、2.5ℓ直4エンジンタイプに続き3.5ℓV型6気筒仕様を公表した。

-2.5ℓ直4仕様で導入した、ロングストローク技術やレーザークラッドバルブシート技術などを継承し、V型エンジンでも導入。

-V6仕様では、新開発のツインターボ(各バンクに1基搭載型)を採用。電動制御ウェイストゲートバルブを採用することでアクセル

レスポンスの向上と、ターボによるポンピングロスを軽減。

-運転状況や外気温に合わせて冷却水路を切り替えるとともに、冷却水の流量を調整することで、エンジンの早期暖機により燃焼効率化につなげる。

-2017年にトヨタが投入したLexus LSの全面改良モデル(ガソリンエンジン仕様)で採用された。

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今後トヨタは小型モデル向けのエンジンにもDynamic Force Engine技術を展開する計画であり、一部報道によると2020年頃の実用化を目指して開発を進めている模様である。

トヨタが東京モーターショーで展示した3.5ℓV6のDynamic Force Engineの写真

変速機技術戦略

▽多段化の推進

トヨタはTNGAの車両開発において、ギアレシオの拡大やロックアップ領域の拡大による動力伝達の効率化により、燃費性能と動力性能を両立。

-FF向けには8速ATを、FR向けには10速ATを開発した。

-FF用8速、FR用10速ATともに、機械面でのフリクション低減も徹底。ギアの歯面加工による潤滑性の向上や、ロックアップ領域拡大によるダイレクトな走りを実現するために、多板クラッチ、高減衰ダンパー等を採用して従来よりも低回転でロックアップを実現。

-FF向けではDセグメント向けに6速からの置き換えとして8速ATを提案。ローギア側とハイギア側でそれぞれギアのカバーレシオを拡大し、低速域での加速性能と、高速域でのエンジン回転数の上昇を抑制。また、高減衰タイプのダンパーや多板ロックアップクラッチなどで、ロックアップ領域を拡大しダイレクトなドライブを可能とした。

-FR向け10速ATでは、ギアのカバーレシオの拡大のほか、リズミカルな変速を実現するため、中低速段でギア比が近いクロスギアレシオを採用。変速スピードの向上も追求し、業界最速の0.22秒を実現した。

(トヨタ広報資料、各種報道を基にFOURIN作成)