ドライバーモニタリング、ADASや自動運転向けの新技術開発

2017.11.24
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先進運転支援システム(ADAS)や、特にLevel 3の自動運転では、ドライバーの状態を監視するモニタリングシステムの重要性が増している。

この中で、関連メーカー各社は、コックピット内のカメラやセンサーを通じて、人工知能(AI)がドライバーの運転への集中度や体調を把握し、手動運転時のドライバーの脇見等に対する注意喚起をはじめ、自動運転時の手動と自動の運転モードの切り替え、ドライバーの体調急変時に安全な場所へ退避する技術などの実用化に向けた開発に取り組んでいる。最近の主な開発動向を見ると、欧州ではZFが交通事故ゼロを目指したコンセプトカーVision Zero Vehicleにレーザーカメラを活用したドライバーモニタリングシステムを搭載した。カメラによりドライバーの頭の動きを3次元で監視してドライバーの注意散漫状態を検知。音声やシートベルトの振動等でドライバーに警告するシステムを実現した。これにより常時ドライバーが運転に集中できる環境を整えるほか、体調急変等でドライバーによる運転が不可能である場合には自動運転技術を活用し、自動退避により事故防止に繋げる。

Vision Zero 写真によるドライバーモニタリングシステムの動作解説。運転席のドライバーの脇見をカメラが検知しディスプレイ上で注意を喚起している。

(Vision Zero Vehicleのコックピットとレーザーカメラによるドライバー状態検知画像)

また日本メーカーではオムロンが2017年10月に開催された電子部品技術展CEATECに近赤外カメラを活用したドライバーモニタリングシステムを提案。瞼の動きや顔の向きを検知してドライバーの集中度を分析する技術を開発し、手動運転時のドライバーへの警告や自動運転から手動運転への安全な運転タスク移行技術としてアピールした。

オムロンのドライバーモニタリングインジケータについて、図での動作解説。瞼の状態や顔の向きと視線の状況を検知。ドライバーの集中度を3段階で判断し、High状態でのみ自動運転からドライバーへ運転タスクを移動できるようにするなど、運転切り替えの基準としても活用できる。

(オムロンのドライバーモニタリングインジケータ)

カメラ以外のモニタリングシステムとしては、ロームが、ドライバーの運転状態を脈波センサーでモニタリングするシステムをCEATECに出展。ステアリングホイールに装着した脈波センサーを活用してドライバーの健康状態を監視する。ドライバーの体調が急変した場合に自動運転により退避するシステムを想定して開発。

またセンサーによるドライバーモニタリングシステムの開発において、関連メーカー各社は、より検知精度の向上を目指した研究開発に取り組んでいる。

デンソーは2017年現在で、人間の状態(感情等)に対する脈波と脳血流の反応との因果関係の分析・研究を実施。より多くの人からデータを収集することで、より正確な分析を行い、将来的なドライバーモニタリングシステムの検知精度を高める考えである。

(各社広報資料、CEATEC 2017会場でのヒアリングを基にFOURIN作成)

FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>

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