VWの電動化戦略ロードマップ

2017.11.08
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VW、2030年までの電動化戦略

VWは、2017年9月のFrankfurtモーターショー(IAA)で、前年に打ち出した電動車戦略をさらに推進するRoadmap Eを発表した。

IAA 2017でVWが発表した電動車戦略Roadmap Eでは、2025年までにVWグループ全体で新型の電動車を80モデル発売するとした。内訳は電気自動車(BEV)が50モデル、プラグインハイブリッド車(PHEV)が30モデル。また、遅くとも2030年までにVWグループの全地域全モデルで、電動車を少なくとも1グレードはラインアップするとした。これは300モデル以上の電動車が登場することを意味する。この目標を実現するために、VWは電動化事業に2030年までに200億ユーロ以上を投じる。さらにこれとは別に、グループが2025年に必要とするバッテリーの総量を年間150GWhと想定し、中国・欧州・北米でのバッテリー調達のために2025年までに500億ユーロ以上を投じる方針も示した。

IAA 2017で電動化戦略Roadmap Eを発表

▽VWの電動化戦略Roadmap E

・2017年9月、Frankfurtモーターショー(IAA)でMatthias Müller (CEO)は、包括的な電動化戦略Roadmap Eを発表した。

・「2025年までに電動車販売で世界一になる」という目標を掲げた2016年6月発表のTOGETHER – Strategy 2025をさらに前進。-Strategy 2025では、2025年までにVWグループの世界販売の25%(年間最大300万台)を電気自動車(BEV)とするとしていた。中国ではFAW、SAIC、JACとの合弁で150万台販売。

・Roadmap Eでは、2025年までにVWグループ全体で新型の電動車を80モデル発売し、バッテリー調達も含めて総額700億ユーロ以上を投資すると発表した。

<Roadmap Eの概要>

・2025年までにVWグループ全体で新型の電動車を80モデル(BEV 50モデル、PHEV 30モデル)発売する。

・遅くとも2030年までにVWグループの全地域全モデル(300モデル以上)で、電動車を少なくとも1グレードはラインアップする。

・電動化事業に2030年までに200億ユーロ以上を投じる。 ・世界(中国・欧州・北米)でのバッテリー調達のために2025年までに500億ユーロ以上を投じる。

-VWグループの電動車が必要とするバッテリーの総容量は2025年に年間150GWh以上に達し、少なくとも4ヵ所のギガファクトリーが必要。

 

▽電動化事業およびバッテリー調達への投資

・2030年までに200億ユーロ以上を電動化事業に投資する。
-ここには、2つのプラットフォームをベースとする新型BEV開発、工場の改修と従業員の研修、充電インフラの整備、バッテリー技術と生産への投資が含まれる。

・バッテリー技術については、中期/長期戦略を並行的に採用。 -中期的には、グループ全体のバッテリーセルおよびモジュールの開発・調達・品質保証活動をドイツSalzgitter工場に集約する。その上で、同工場にバッテリーセルおよびバッテリーモジュールのパイロットラインを作り、生産ノウハウを蓄積する。

・2025年までにグループの電動車が必要とする150GWhのバッテリー総容量を確保するために、中国、欧州、北米で長期的な調達戦略提携を結ぶ。この調達プロジェクトの総額は、電動車専用アーキテクチャMEBをベースとするグループモデルの分だけで、500億ユーロ以上となる。 -Teslaのギガファクトリー1の生産能力は年間35GWhで、同規模の工場が少なくとも4ヵ所は必要となる。

・さらにその先も見据え全固体バッテリーの開発も進めている。

VWグループの主要ブランド、電動化戦略とコンセプトモデル

▽VWブランドの電動化戦略

・VWブランドは2022年までの5年間で総額60億ユーロを電動化に投じる計画。 ・電動車専用アーキテクチャMEBをベースとするBEVを開発しており、2020年に最初の3モデル、2025年までに計23モデルのBEVを投入する計画。

▽VWコンセプトモデルI.D. CROZZ

・VWはIAA 2017で、MEBの新型コンセプトモデルI.D. CROZZを公開した。
-2020年に量産開始予定のクロスオーバーSUVのベースとなる。
-.D. CROZZは2017年4月の上海モーターショーで先行公開されているが、今回のIAA公開モデルでは、外観デザインやカラーリングを変更し、より製品レベルに近づいた。
-出力75kWのモーターをフロントに1基、リアに2基搭載し、システム出力は225kW。駆動形式は4WD。 -ブースト時の最高速度は180km/h。航続距離500km。

▽Audiブランドの電動化戦略

・2025年までに新車の3分の1以上をBEV/PHEVにする方針。
・2020年までにBEVを計3モデル発売予定。
-第1号はSUVのQ6 e-tron quattroで、2018年に発売予定、第2号はSUVクーペのe-tron Sportback。いずれもMEBモデルではなく、MLB2ベースで航続距離は500km以上。

▽AudiコンセプトモデルElaineとAicon

・AudiはIAA 2017で、自動運転技術と電動化技術を融合した2つのコンセプトモデル、ElaineとAiconを発表。
-Elaineは、自動運転レベル4 に対応するSUVタイプのコンセプトEVで320kWのモーターを搭載。容量95kWhの全固体バッテリーを搭載し、航続距離は500km以上。
-Aiconは、自動運転レベル5 に対応するスポーツクーペタイプのコンセプトEVで、ホイールごとに各4個のモーターを配置しシステム出力は260kW、トルクは550N・m。航続距離は700~800kmを想定する。

▽Porscheブランドの電動化戦略

・Porscheは、Mission E conceptをベースとする出力440kw、航続距離500kmのスポーツEV (J1)を2019~2020年に発売予定。
-独自のアーキテクチャを採用。Bentlayの一部モデルと共有。

FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>
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